3月18日、19日、日本臨床腫瘍薬学会学術大会2017が開催された。
日本臨床腫瘍薬学会は2,000人以上の会員からなる薬剤師のためのがんの専門学会である。2013年から学術集会が開催され、第1回は東京、第2回は千葉、第3回は京都、第4回は鹿児島で開催。第5回となる今回は新潟での開催となった。
「がんと生きる時代~薬剤師が紡ぐがん医療~」をテーマに掲げ、がんになっても安心して暮らせる社会を病院薬剤師、薬局薬剤師、在宅医療薬剤師、大学勤務薬剤師が『紡ぐ』ことを考えているとのこと。
336演題からなる演題では「がん患者指導管理料3算定」、「抗がん剤暴露対策」、「抗がん剤レジメン」、および「特殊な患者における副作用マネジメント」などの専門薬剤師ならでをテーマとしたもの、「薬薬連携(病院薬剤師と保険薬局薬剤師(院外薬局)感の情報共有)」および「かかりつけ薬剤師」など学術集会テーマである『紡ぐ』をテーマとしたもの、また、薬剤師が患者にどのように接すれば良いかという「コミニュケーション」をテーマのしたものなど多岐にわたった。
「薬薬連携」といった薬局薬剤師の関わるテーマは多くの薬局が休日となる日曜日に集中しており、より多くの薬局薬剤師が参加できるような工夫がみられ、本学会のスタンスがみられた。
大会長の斉藤真一郎氏(前 国立がん研究センター東病院 薬剤部長)は、「外来処方が増え、がん医療において薬局薬剤師は欠かせないものでとなった。現段階では薬薬連携は適切に機能できないところもあるが、病院・薬局双方が互いに信頼をおき、薬剤師がよりよいがん診療に貢献することを目指していきたい」と述べ、また、専門性については「腎疾患や肝疾患などの合併患者において、様々な副作用を少ないなりに継続することを考えるような専門薬剤を多く育つことを願う」と続けた。
本学会は設立間もない若い学会であり、30~40代の若い薬剤師が学会の中心となり活躍しているも特徴である。患者と接する機会が増えたとはいえ、薬剤師が患者と接する機会は少ない。しかしながら、患者が知らない中でがん専門薬剤師の層は厚く育まれている。
記事:可知 健太