2017年11月2日、再発難治性多発性骨髄腫患者に対するB細胞成熟抗原(BCMA)と呼ばれる骨髄腫細胞の60〜70%に発現する抗原を標的とした抗BCMA抗体薬であるGSK2857916単剤療法が米国食品医薬品局(FDA)よりブレイクスルーセラピー(画期的新薬)の指定を受けたことをグラクソ・スミスクライン(GSK)社は自社のプレスリリースで公表した。
今回のブレイクスルーセラピーの根拠は、再発難治性多発性骨髄腫またはB細胞成熟抗原発現陽性リンパ腫患者に対してGSK2857916単剤療法を投与し、主要評価項目である有害事象(AE)発症率などを検証したオープンラベルシングルアーム非盲検の第I相試験(NCT02064387)に基いている。なお、本試験に登録された再発難治性多発性骨髄腫はB細胞成熟抗原陽性/陰性に関係なく登録されている。
さらに先月の10月、GSK2857916はプロテアソーム阻害薬(PI)、免疫調節薬(IMiDs)、そして抗CD38抗体薬などの前治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対する単剤療法が欧州医薬品庁(EMA)よりプライオリティー・メディシンズ(PRIME)の指定を受けている。プライオリティー・メディシンズとは、米国食品医薬品局が指定するブレイクスルーセラピー制度と同様にアンメットメディカルニーズを満たす新薬候補に対して審査期間の短縮を当局の支援により目指す制度である。
今回のGSK2857916単剤療法のブレイクスルーセラピー、ならびにプライオリティー・メディシンズの指定を受けて、グラクソ・スミスクライン社・オンコロジー研究開発部門(R&D)・シニア・バイス・プレジデントのAxel Hoos氏は以下のように述べている。”グラクソ・スミスクライン社・オンコロジー部門の研究開発は、患者さんにとって変革の可能性を秘めた医薬品の開発に焦点を当てており、GSK2857916がブレイクスルーセラピー、プライオリティー・メディシンズの指定を受けた最初の抗B細胞成熟抗原抗体薬であることを喜ばしく思います。グラクソ・スミスクライン社は、GSK2857916が多発性骨髄腫患者さんにとって有益な治療方法となるため、この有望な治療薬を単剤療法、または他の薬剤との併用療法で臨床試験を早急に進行させる予定です。 GSK2857916で確認された単剤療法のデータは、多発性骨髄腫患者さんの治療変革の可能性を示唆しており、新規の研究開発を進行させるなかで規制当局と協力して進行できることを楽しみにしています。”
今回のブレイクスルーセラピーの根拠となった本試験は現在も進行中であり、本試験結果の詳細は2017年12月9日から12日アメリカ合衆国・ジョージア州・アトランタで開催される第59回米国血液学会(ASH2017)にて公表される予定である。