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進行閉経後ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性乳がんに対するbuparlisib+フェソロデックス併用療法

2017年12月6日、医学誌『The Lancet Oncology』にてアロマターゼ阻害薬(AI)、mTOR阻害薬による治療後に病勢増悪した進行閉経後ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性乳がん患者に対するPI3K阻害薬であるbuparlisib+フルベストラント(商品名フェソロデックス)の併用療法有効性を検証した第III相のBELLE-3試験(NCT01633060)の結果が公表された。

BELLE-3試験とは、アロマターゼ阻害薬(AI)、mTOR阻害薬による治療後に病勢増悪した進行閉経後ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性乳がん患者(N=432人)に対して1日1回buparlisib100mg+1、15日目に1回、その後4週ごとに1回フェソロデックス500mg併用療法を投与する群(N=289人)、またはプラセボ+フェソロデックス併用療法と投与する群(N=143人)に2:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を比較検証した二重盲検の第III相試験である。

本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はbuparlisib+フェソロデックス併用療法群3·9ヶ月(95%信頼区間[CI]2·8–4·2ヶ月)に対してプラセボ+フェソロデックス併用療法群1·8ヶ月(95%信頼区間[CI]1·5–2·8ヶ月)、buparlisib+フェソロデックス併用療法群で統計学的有意に延長することが示された(ハザードリスク比0·67,95%信頼区間[CI]0·53–0·84,p=0·0003)。

また、サブ解析としてctDNAでPIK3CA変異陽性、陰性患者における無増悪生存期間(PFS)も検証されており、buparlisib+フェソロデックス併用療法群におけるPIK3CA変異陽性率は43%(N=100人/232人)、陰性率は57%(N=132人/232人)、プラセボ+フェソロデックス併用療法群におけるPIK3CA変異陽性率は30%(N=35人/116人)、陰性率は70%(N=81人/116人)であった。

PIK3CA変異陽性患者における無増悪生存期間(PFS)中央値は、buparlisib+フェソロデックス併用療法群4.2ヶ月(95%信頼区間[CI]2·8–6.7ヶ月)に対してプラセボ+フェソロデックス併用療法群1·6ヶ月(95%信頼区間[CI]1·4–2·8ヶ月)、buparlisib+フェソロデックス併用療法群で統計学的有意に延長することが示された(ハザードリスク比0·46,95%信頼区間[CI]0·29–0·73,p=0·00031)。一方のPIK3CA変異野生型患者における無増悪生存期間(PFS)中央値は、buparlisib+フェソロデックス併用療法群3.9ヶ月(95%信頼区間[CI]2·8–4.3ヶ月)に対してプラセボ+フェソロデックス併用療法群2.7ヶ月(95%信頼区間[CI]1·5–3.6ヶ月)で
あった。

一方の安全性は、プラセボ+フェソロデックス併用療法群よりもbuparlisib+フェソロデックス併用療法群で多く確認されたグレード3/4の有害事象(AE)は、ALT(アラニンアミノ基転移酵素)上昇22%(N=63人)に対して3%(N=4人)、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)上昇18%(N=51人)に対して3%(N=4人)、高血糖12%(N=35人)に対して0%(N=0人)、高血圧6%(N=16人)に対して4%(N=6人)、疲労3%(N=10人)に対して1%(N=2人)であった。

また、重篤な有害事象(AE)はbuparlisib+フェソロデックス併用療法群22%(N=64人)、プラセボ+フェソロデックス併用療法群16%(N=23人)の患者で確認され、buparlisib+フェソロデックス併用療法群において2%以上の患者で確認された重篤な有害事象(AE)はAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)上昇2%(N=6人)、呼吸困難2%(N=6人)、そして胸水2%(N=6人)であった。治療中に死亡した患者はbuparlisib+フェソロデックス併用療法群3%(N=10人、プラセボ+フェソロデックス併用療法群4%(N=6人)の患者で確認され、buparlisib+フェソロデックス併用療法群で死亡が確認された患者の1人は心不全によるものであった。

Buparlisib plus fulvestrant in postmenopausal women with hormone-receptor-positive, HER2-negative, advanced breast cancer progressing on or after mTOR inhibition (BELLE-3): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial(The Lancet Oncology)

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