2017年11月16日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて治療歴のある進行性膠芽腫(グリオブラストーマ)患者に対するロムスチン+ベバシズマブ(商品名アバスチン;以下アバスチン)の有効性を検証した第III相試験(NCT01290939)の結果が公表された。
本試験は、化学放射線療法後に進行した膠芽腫患者患者(N=437人)に対して6週間に1回の投与間隔でロムスチン90mg/m2+2週間に1回の投与間隔でアバスチン10mg/kgを投与する群(N=288 例)、6週間に1回の投与間隔でロムスチン110mg/m2のみを投与する群(N=149人)に 2:1 の割合で無作為に割りつけ、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)を検証した国際多施設共同の第III相試験である。
6週間の治療サイクル中央値はアバスチン併用療法群で3 回、単剤療法群が1回で、投与中止の主な理由は病勢進行によるものであった。
本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はアバスチン併用療法群9.1ヶ月(95%信頼区間[CI]:8.1~10.1ヶ月)に対して単剤療法群8.6ヶ月(95%信頼区間[CI]:7.6~10.4ヶ月)であった。(ハザード比:0.95、P =0.65)また、副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はアバスチン併用療法群4.2ヶ月に対して単剤療法群1.5ヶ月であった(ハザード比:0.49、95%信頼区間[CI]:0.39~0.61、P < .001)。なお、病勢進行後に追加治療を受けた患者はアバスチン併用療法群53%、単剤療法群66%であった。
グレード3から5の有害事象(AE)はアバスチン併用療法群63.6%(肺塞栓症5%、動脈性高血圧24%を含む)、単剤療法群38.1%で発現していた。また、治療に関連する重篤な有害事象(TEAE)はアバスチン併用療法群39%、単剤療法群10%であった。なお、ロムスチンにアバスチンを追加することで健康関連QOL、神経認知機能への影響はなかった。
以上の第III相の試験の結果を受けて、治験医師らは下記にように結論づけている。"ロムスチンにアバスチンを追加することによりロムスチン単独療法よりも無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善することは証明されましたが、全生存期間(OS)を統計学的有意に改善することを証明できませんでした。"