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がん診断後、インターネット上のストレス緩和プログラムにより早期介入することでQOLは向上し、苦痛も軽減する

2018年1月25日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて新規にがんと診断された患者に対する心理的ストレスを緩和させるウェブシステム介入の有効性を検証した無作為化試験の結果がUniversität Basel・Corinne Urech氏らにより公表された。

本試験は、12週間以内のがんの一次治療を開始した患者(N=129人)に対してインターネットでの心理的ストレスを緩和させるための患者セルフケアプログラム「STREAM」により介入する群(N=65人)、介入しないコントロール群(N=64人)に無作為に振り分け、主要評価項目として介入時をベースラインとした介入後、介入より2ヶ月後のFACIT-F評価によるQOLスコアの変化、副次評価項目として介入時をベースラインとした介入後、介入より2ヶ月後のHADS Score評価による苦痛、不安、鬱などのスコアを検証した無作為化試験である。

なお、STREAMとはストレスとは何か?身体的ストレスを緩和させるための方法、心理的ストレスを緩和させるための方法など8つのプログラムで構成されており、1プログラム当たり60から90分程で完了できるインターネット上の患者のセルフ学習コンテンツである。がんと診断された後少なくとも70%の患者はインターネットにアクセスし、がんの種類に関係なく患者は診断後を最も苦痛と感じており、かつ診断、治療などにより忙しいためインターネットを媒体とするSTREAMは有効であると考えられた。さらに、がん患者に対する心理的介入を早期に成功させることで、心理的ケアの枠を超えてがんの病勢コントロールを良好にする可能性があることが示唆されている。

上記試験に登録された患者は、乳がん71.3%(N=92人)、婦人科がん5.4%(N=7人)、肺がん3.9%(N=5人)、中枢神経系/頭頸部がん3.1%(N=4人)、リンパ腫8.5%(N=11人)、皮膚/軟部腫瘍0.8%(N=1人)、消化器系がん5.4%(N=7人)、泌尿器系がん2.0%(N=2人)である。なお、がんの進行具合は局所86.0%(N=111人)、転移性14.0%(N=18人)であった。

以上のような背景を有する患者に対してSTREAMにより介入する群、介入しない群に分けてQOLスコア、苦痛、不安、鬱などのスコアを検証した結果は下記の通りである。主要評価項目であるFACIT-F評価によるQOLスコアはSTREAMにより介入する群は介入しない群よりもその差は8.59ポイント(95%信頼区間:2.45-14.73,P = 0.007)、QOLスコアを統計学的有意に改善することを示した。なおFACIT-F評価によれば、算出されたQOLスコアは7~9点の差があることで臨床的意義のあるスコアになる。

また、副次評価項目である苦痛スコアもSTREAMにより介入する群は介入しない群よりも−0.85ポイント(95%信頼区間:−1.60 -−0.10,P = 0.03)統計学的有意に減少させることを示した。一方、副次評価項目である不安、鬱のスコアはSTREAMにより介入する群は介入しない群よりも−1.28ポイント(95%信頼区間:−3.02 -0.45,P = 0.15)減少させるも、統計学的有意差は示さなかった。

以上の結果よりCorinne Urech氏らは以下のように結論を述べている。”インターネットによるストレスマネジメントプログラム「STREAM」は患者さんのQOLを向上させるために有効であり、かつ実行しやすいツールです。実際、STREAM介入群における6つ以上のプログラムを受講した患者率は80%でした。”

Web-Based Stress Management for Newly Diagnosed Patients With Cancer (STREAM): A Randomized, Wait-List Controlled Intervention Study(Journal of Clinical Oncology – published online before print January 25, 2018)

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