2018年3月28日、ヤンセンファーマはアパルタミドを去勢抵抗性前立腺がんの適応取得のため厚生労働省に製造販売承認を申請した。
アパルタミドは、次世代型の経口アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬。アンドロゲンのアンドロゲン受容体(AR)への結合阻害、ARのがん細胞核内移行の抑止、ARのがん細胞DNAへの結合阻害で効果を発揮する。
今回厚生労働省に製造販売承認申請に至った臨床試験は、アパルタミド投与群とプラセボ群を比較したフェーズ3試験(SPARTAN, NCT01946204)の結果示されたもの。2018年2月にサンフランシスコで開催されたASCO GU2018で、米UCSF Helen Diller Family Comprehensive Cancer CenterのEric Jay Small氏によって発表されている。
SPARTAN試験は、日本を含む世界の332施設で1207人を対象として行われた。遠隔転移のない高リスク去勢抵抗性前立腺がん患者を、アンドロゲン遮断療法(以下ADT)に加えて1日1回240mgのアパルタミドを投与される群(アパルタミド投与群、806人)とADTに加えてプラセボを投与する群(プラセボ群、401人)に2対1で無作為に割り付けて行われた。主要評価項目は無転移生存期間で、無作為化から盲検下審査委員会による最初の画像的な遠隔転移の出現か死亡までの時間と定義された。副次評価項目は、転移出現までの時間、無増悪生存期間、症状の増悪までの時間、全生存期間だった。
患者は転移の出現後は、医師の裁量によってアビラテロン(ザイティガとプレドニゾンなど)の投与を受けた。無作為化から転移を有するCRPCの治療で増悪するか死亡するまでの時間として、無増悪生存期間2の評価も探索的項目として行われた。
アパルタミド投与群、プラセボ群ともに年齢中央値は74.0歳。患者はリンパ節転移あり(N1)まで認められており、アパルタミド投与群の17%、プラセボ群の16%を占めていた。
試験の結果、無転移生存期間中央値はアパルタミド投与群が40.5カ月、プラセボ群が16.2カ月で、ハザード比0.28(95%信頼区間:0.23-0.35)となり72%転移または死亡する期間を延長させた。サブグループ解析はほとんど全てのグループで有意にアパルタミド投与群が良い結果だった。
転移出現までの時間の中央値は、アパルタミド投与群が40.5カ月、プラセボ群が16.6カ月で、ハザード比0.27(95%信頼区間:0.22-0.34)で有意にアパルタミド投与群で73%転移出現までの時間を延長させた。
無増悪生存期間中央値は、アパルタミド投与群が40.5カ月、プラセボ群が14.7カ月で、ハザード比0.29(95%信頼区間:0.24-0.36)で、71%有意アパルタミド投与群で病勢進行または死亡のリスクを減少させた。症状の増悪までの時間の中央値は両群ともに未到達だったが、ハザード比0.45(95%信頼区間:0.32-0.63)で55%有意にアパルタミド投与群で良好だった。
全生存期間は中間解析の時点で中央値は両群ともに未到達だったが、ハザード比0.70(95%信頼区間:0.47-1.04)で30%死亡リスクがアパルタミド投与群に良好な傾向が認められた。
副作用のために中止となった率は、アパルタミド投与群で11%、プラセボ群で7%だった。グレード3/4の副作用は、アパルタミド投与群の45%、プラセボ群の34%に発現した。
Apalutamide Treatment and Metastasis-free Survival in Prostate Cancer.(NEJM, February 8, 2018)
(文 前原 克章)