5月23日、厚生労働省 中央社会保険医療協議会・総会は、アストラゼネカ社の「BRACAnalysis 診断システム」の保険適用を了承した。6月に収載予定となる。
同日、厚生労働省 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会が開催され、PARP阻害薬のオラパリブ(リムパーザ)が「がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」にて了承された。BRCA遺伝子検査にて陽性か否かを判定した上で使用する薬剤は同剤が初であるが、使用するためにBRCA検査を行う必要がある。
故に、今回の保険適用承認は、まさにリムパーザを使用するために必要不可欠な検査となる。
「BRACAnalysis 診断システム」は、特定保険医療材料として償還価格を設定せず、新規技術料で評価するとのことであるが、BRCA1遺伝子、BRCA2遺伝子検査を行うのに合計20,200点(202,000円)の技術がかかる。
同時に、以下3つの留意事項(案)が定められた。
1.本検査は、転移性または再発乳癌患者の全血を検体とし、PCR 法等により、抗悪性腫瘍剤による治療法の選択を目的として、BRCA1遺伝子及びBRCA2 遺伝子の生殖細胞系列の変異の評価を行った場合に限り算定する。
2.本診断システムは、化学療法の経験を5年以上有する常勤医師又は乳腺外科の専門的な研修の経験を5年以上有する常勤医師が1名以上配置されている保険医療機関で実施すること。
3.本診断システムは、遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている保険医療機関で実施すること。ただし、遺伝カウンセリング加算の施設基準に係る届出を行っている保険医療機関との連携体制を有し、当該届出を行っている保険医療機関において必要なカウンセリングを実施できる体制が整備されている場合は、この限りではない。
要するに、検査できる医療機関は「乳がん専門医が1名以上配置され」かつ「遺伝カウンセリング体制が整っている(連携も可能)」ことが条件となり、使用できる医療機関が限られていることに留意したい。
医療機器の保険適用について(平成30年6月収載予定)中医協 総-1-1 30.5.23
文:可知 健太