・OPTIMISMM試験とは、レブラミド2サイクル以上の治療歴を含む少なくとも1レジメン以上の治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対するポマリスト+ベルケイド+デキサメタゾン(PVd療法)、ベルケイド+デキサメタゾン(Vd療法)の有効性を比較検証した第III相試験である
・本試験の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はPVd療法群11.20ヶ月に対してVd療法群7.10ヶ月、PVd療法群で病勢進行または死亡のリスクを39%統計学的有意に減少した
・本試験のサブグループ解析では、レブラミド難治性を示した患者群、示さなかった患者群、プロテアソーム阻害薬の治療歴のある患者群、遺伝子異常を有する患者群における無増悪生存期間(PFS)の結果も解析しており、全患者群同様にPVd療法群で無増悪生存期間(PFS)を改善した
2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)にて、レナリドミド(商品名レブラミド;以下レブラミド)治療歴を有する再発または難治性多発性骨髄腫患者に対するポマリドミド(商品名ポマリスト;以下ポマリスト)+ボルテゾミブ(商品名ベルケイド;以下ベルケイド)+デキサメタゾン併用療法(PVd療法)、ベルケイド+デキサメタゾン併用療法(Vd療法)の有効性を比較検証した第III相のOPTIMISMM試験(NCT01734928)の結果がDana-Farber Cancer Institute Jerome Lipper Multiple Myeloma Center・Paul G. Richardson氏らにより公表された。
OPTIMISMM試験とは、レブラミド2サイクル以上の治療歴を含む少なくとも1レジメン以上の治療歴のある再発または難治性多発性骨髄腫患者に対して21日間を1サイクルとして1日~14日目にポマリスト4mg+1~8サイクルまでは1日目、4日目、8日目、11日目に、9サイクル以降は1日目、8日目にベルケイド1.3mg/m2+連日デキサメタゾン20mgを投与する群(N=281人,PVd療法)、または1~8サイクルまでは1日目、4日目、8日目、11日目に、9サイクル以降は1日目、8日目にベルケイド1.3mg/m2+連日デキサメタゾン20mgを投与する群(N=278人,Vd療法)に1:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、全奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)などを比較検証した国際多施設共同非盲検下の第III相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値16ヶ月時点における結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はPVd療法群11.20ヶ月に対してVd療法群7.10ヶ月、PVd療法群で病勢進行または死亡のリスクを39%統計学的有意に減少(ハザード比0.61,95%信頼区間:0.49-0.77,p<0.0001)を示した。
なお、レブラミド難治性を示した患者群、示さなかった患者群、プロテアソーム阻害薬の治療歴のある患者群、遺伝子異常を有する患者群における無増悪生存期間(PFS)のサブグループ解析も実施しており、全患者群同様にPVd療法群で無増悪生存期間(PFS)を改善した。
また、前治療歴が1レジメンだった患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値はPVd療法群が20.73カ月に対してVd療法群が11.63カ月で、PVd療法群で病勢進行または死亡のリスクを46%統計学的有意に減少(ハザード比0.54,95%信頼区間:0.36-0.82,p=0.0027)を示した。
副次評価項目である全奏効率(ORR)はPVd療法群82.2%に対してVd療法群50.0%(p<0.0001)、完全奏効率(CR)はPVd療法群15.7%に対してVd療法群4.0%、奏効持続期間(DOR)はPVd療法群13.7ヶ月に対してVd療法群10.9ヶ月を示した。なお、全生存期間(OS)においてはイベント数未達のためデータは未成熟であった。
一方の安全性としては、最も多くの患者で確認されたグレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。好中球減少症はPVd療法群41.2%に対してVd療法群8.5%、感染症は30.9%に対して17.8%、血小板減少症は27.3%に対して29.3%であった。なお、二次がん発症率はPVd療法群3.2%に対してVd療法群1.5%であった。
以上のOPTIMISMM試験の結果よりPaul G. Richardson氏らは以下のように結論を述べている。”レブラミドに難治性を示した多発性骨髄腫患者に対してもPVd療法は無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に延長しました。特に、前治療が1レジメンの患者群において無増悪生存期間(PFS)を改善しました。”