・SOLO2試験とは、2レジメン以上の治療歴のあるBRCA1/2変異陽性再発卵巣がん患者に対してプラチナ系抗がん剤治療後のメンテナンス療法としてリムパーザ単剤療法を投与する群、またはプラセボを投与する群に無作為に振り分け、有効性を比較検証した国際多施設共同無作為化二重盲検試験である
・本研究では、SOLO2試験において倦怠感、嘔吐、吐き気などの治療関連有害事象(TRAE)がリムパーザを投与した多くの患者で確認されたことから身体症状、活動状況及びその他の心配な点のスコアを総合した指標であるTOIスコア患者のQOLを評価している
・本試験の結果、治療開始時点より12ヶ月後のTOIスコア変化中央値はリムパーザ群−2·90に対してプラセボ群-2·87、両群間の差は−0·03(p=0·98)で統計学有意な差は確認されなかった
2018年7月16日、医学誌『The Lancet Onclogy』にて治療歴のあるBRCA1/2変異陽性再発卵巣がん患者に対するプラチナ系抗がん剤治療後のメンテナンス療法としてのポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害薬であるオラパリブ(商品名リムパーザ;以下リムパーザ)単剤療法とプラセボの有効性を検証した第III相のSOLO2試験(NCT01874353)のQOL(生活の質)の結果がPrince of Wales Hospital・Michael Friedlander氏らにより公表された。
SOLO2試験とは、2レジメン以上の治療歴のあるBRCA1/2変異陽性再発卵巣がん患者に対してプラチナ系抗がん剤治療後のメンテナンス療法として1日2回リムパーザ300mg単剤療法を投与する群(N=196人)、またはプラセボを投与する群(N=99人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証した国際多施設共同無作為化二重盲検試験である。
2017年3月16日、アストラゼネカ社のプレスリリースにて既に報告された通り、本試験の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はリムパーザ群19.1ヶ月に対してプラセボ群5.5ヶ月、リムパーザ投与により病勢進行または死亡(PFS)のリスクが70%統計学有意に減少(ハザード比 0.30,95%信頼性区間0.22-0.41,P<0.0001)を示した。
その一方で、リムパーザ投与により倦怠感、嘔吐、吐き気などの治療関連有害事象(TRAE)が多くの患者で確認された。以上の背景より、本研究では身体症状、活動状況及びその他の心配な点のスコアを総合した指標であるTOIスコア(Trial Outcome Index)により治療開始時点より12ヶ月後における患者のQOLを評価した。
本試験の結果、治療開始時点より12ヶ月後のTOIスコア変化中央値はリムパーザ群−2·90(95%信頼区間:−4·13-−1·67)に対してプラセボ群-2·87(95%信頼区間:–4·64-−1·10)、両群間の差は−0·03(95%信頼区間:−2·19-2·13,p=0·98)で統計学有意な差は確認されなかった。
以上のSOLO2試験におけるQOL解析の結果よりMichael Friedlander氏らは以下のように結論を述べている。”BRCA1/2変異陽性再発卵巣がん患者に対するメンテナンス療法としてのリムパーザ単剤療法は有害な影響を与えないことがQOL評価の結果より証明されました。また、メンテナンス療法としてのリムパーザ単剤療法は無増悪生存期間(PFS)を統計学有意に改善するため、今後の臨床試験などで標準治療として投与されるべきでしょう。”