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治療歴のある進行性腎細胞がん患者に対するカボザンチニブ単剤療法、免疫チェックポイント阻害薬を含む前治療の種類に関係なく無増悪生存期間(PFS)を改善する

この記事の3つのポイント
・治療歴のある進行性腎細胞がん対象のカボザンチニブとエベロリムスの比較試験の結果
・カボザンチニブはエベロリムスと比較して有効であることを示した
免疫チェックポイント阻害薬を使用していた方でもカボザンチニブは有効性を示した

2018年9月20日、医学誌『British journal of cancer』にて治療歴のある進行性腎細胞がん患者に対するチロシンキナーゼ阻害薬であるカボザンチニブ単剤療法、エベロリムス(商品名アフィニトール;以下アフィニトール)単剤療法の有効性を比較検証した第III相のMETEOR試験(NCT01865747)のサブグループ解析結果がCancer Research UK Experimental Cancer Medicine Centre・Thomas Powles氏らにより公表された。

METEOR試験とは、血管内皮増殖因子(VEGF)系阻害薬の治療歴のある進行性腎細胞がん患者(N=658 人)に対して1日1回カボザンチニブ60mg単剤療法を投与する群、または1日1回アフィニトール10mg単剤療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間PFS)、副次評価項目として全生存期間OS)、客観的奏効率ORR)を比較検証した多施設共同オープンラベルの第III相試験である。

なお、本サブグループ解析では前治療の種類別に分けて有効性を検証している。前治療歴の種類としてはスニチニブ(商品名スーテント;以下スーテント)、パゾパニブ(商品名ヴォトリエント;以下ヴォトリエント)、抗PD-1/PD-L1抗体薬。これら薬剤の前治療歴別においても無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)がカボザンチニブ群で統計学的有意に改善するかどうかをサブグループ解析で検証している。

本試験の結果は下記の通りである。前治療としてスーテントによる治療を受けた患者群(N=267人)における無増悪生存期間(PFS)中央値はカボザンチニブ群9.1ヶ月に対してアフィニトール群3.7ヶ月(HR:0.43,95%信頼区間:0.32–0.59)、全生存期間(OS)中央値はカボザンチニブ群21.4ヶ月に対してアフィニトール群16.5ヶ月(HR:0.66,95%信頼区間:0.47–0.93)、客観的奏効率(ORR)はカボザンチニブ群16%に対してアフィニトール群3%。

前治療としてヴォトリエントによる治療を受けた患者群(N=171人)における無増悪生存期間(PFS)中央値はカボザンチニブ群7.4ヶ月に対してアフィニトール群5.1ヶ月(HR:0.67,95%信頼区間:0.45–0.99)、全生存期間(OS)中央値はカボザンチニブ群22.0ヶ月に対してアフィニトール群17.5ヶ月(HR:0.66,95%信頼区間:0.42–1.04)、客観的奏効率(ORR)はカボザンチニブ群19%に対してアフィニトール群4%。

前治療として抗PD-1/PD-L1抗体薬による治療を受けた患者群(N=32人)における無増悪生存期間(PFS)中央値はカボザンチニブ群で未到達に対してアフィニトール群4.1ヶ月(HR:0.22,95%信頼区間:0.07–0.65)、全生存期間(OS)中央値はカボザンチニブ群で未到達に対してアフィニトール群16.3ヶ月(HR:0.56,95%信頼区間:0.21–1.52)、客観的奏効率(ORR)はカボザンチニブ群22%に対してアフィニトール群0%。

以上のMETEOR試験のサブグループ解析結果よりThomas Powles氏らは以下のように結論を述べている。”治療歴のある進行性腎細胞がん患者に対するカボザンチニブ単剤療法は免疫チェックポイント阻害薬を含む前治療の種類に関係なく有効性を示しました。”

Outcomes based on prior therapy in the phase 3 METEOR trial of cabozantinib versus everolimus in advanced renal cell carcinoma(British Journal of Cancervolume 119, pages663–669 (2018))

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