2018年10月19日~23日までドイツ・ミュンヘンで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)にて未治療のALK陽性進行性または転移性非小細胞肺がんアジア人患者に対するALK阻害薬であるアレクチニブ(商品名アレセンサ;以下アレセンサ)単剤療法の有効性を比較検証した第III相のALESIA試験(NCT02838420)の結果が公表された。
ALESIA試験とは、未治療のALK陽性進行性または転移性非小細胞肺がんアジア人患者に対するファーストライン治療として1日2回アレセンサ600mg単剤療法を投与する群、または1日2回クリゾチニブ250mg(商品名ザーコリ)単剤療法を投与する群に2:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として治験医師判断による無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として独立評価機関判断による無増悪生存期間(PFS)、中枢神経系(CNS)に転移を有する患者群における無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを比較検証した多施設共同オープンラベルの第III相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である治験医師判断による無増悪生存期間(PFS)中央値はアレセンサ群で未到達(95%信頼区間:20.3ヶ月-未到達)に対してザーコリ群で11.1ヶ月(95%信頼区間:9.1-13.0ヶ月)、アレセンサ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを統計学有意に78%減少(HR:0.22,95%信頼区間:0.13-0.38)した。
また、副次評価項目である独立評価機関判断による無増悪生存期間(PFS)中央値はアレセンサ群で未到達(95%信頼区間:16.7ヶ月-未到達)に対してザーコリ群で10.7ヶ月(95%信頼区間:7.4ヶ月-未到達)、アレセンサ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを63%減少(HR:0.37,95%信頼区間:0.22-0.61)した。
さらに、中枢神経系(CNS)に転移を有する患者群における無増悪生存期間(PFS)は、アレセンサ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを86%減少(HR:0.14,95%信頼区間:0.06-0.30)した。
一方の安全性として、治療関連有害事象(TRAE)は既存の臨床試験で確認されているアレセンサ単剤療法の安全性プロファイルと一致しており、本試験で新たに確認されたものはなかった。
以上のALESIA試験の結果より、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社・最高医学責任者兼グローバル開発責任者であるSandra Horning氏は以下のように述べている。”今日まで、アレセンサは中国を含む65カ国で製造承認がおりてます。ALESIA試験は、未治療のALK陽性進行性または転移性非小細胞肺がん患者さんに対するファーストライン治療としてのアレセンサ単剤療法の有用性を後押しすることでしょう。”