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アスピリン使用量と肝細胞がん発症リスクの関係性

この記事の3つのポイント
・アスピリンと肝細胞がんの発症リスクの関係性を調べたプロスペクティブ試験
・アスピリンを使用している人の肝細胞がんのリスクが減少
・一方、非ステロイド性抗炎症薬をアスピリンの代わりに使っていた人に減少は示されず

2018年10月4日、医学誌『JAMA Oncology』にてアスピリンと肝細胞がん発症リスクの関係性について検証した前向き試験の結果がMassachusetts General Hospital・Tracey G. Simon氏らにより公表された。

本試験は、米国にて2017年11月より2018年3月の間にthe Nurses’ Health Study、the Health Professionals Follow-up Studyの2試験に参加した133,371人(男性45,864人:女性87,507人)を対象に、アスピリン使用量、使用期間と肝細胞がん発症リスクの関係性を前向きに検証した試験である。

本試験が実施された背景として、米国における肝細胞がんを発症する患者数がここ40年増加しており、かつ発見時には肝細胞がんの進行後期で予後不良であるためである。以上の背景より、肝細胞がんの発症率、死亡率を軽減する効果的な予防方法を開発する必要性が求められ、本試験が実施された。

本試験のフォローアップ期間中央値26年、108人(男性43人:女性65人)が肝細胞がんを発症した時点における結果は下記の通りである。定期的にアスピリンを使用しない人に比べて定期的にアスピリンを使用する人(1回あたりアスピリン325mgを週2回)は、肝細胞がんの発症リスクを49%減少した(ハザード比:0.51,95%信頼区間:0.34-0.77)。そして、アスピリンと肝細胞がん発症リスクの関係性は使用の有無よりも使用量が深く関係していた。

1回あたりアスピリン325mgを週1.5回の頻度でアスピリンを使用する人の肝細胞がん発症リスクは13%減少(ハザード比:0.87,95%信頼区間:0.51-1.48)、1回あたりアスピリン325mgを週1.5回から5回の頻度でアスピリンを使用する人の肝細胞がん発症リスクは49%減少(ハザード比:0.51,95%信頼区間:0.30-0.86)、1回あたりアスピリン325mgを週5回以上の頻度でアスピリンを使用する人の肝細胞がん発症リスクは51%減少(ハザード比:0.49,95%信頼区間:0.28-0.96)した。

一方でアスピリンの代わりに非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用していた人の肝細胞がん発症リスクは減少(ハザード比:1.09,95%信頼区間:0.78-1.51)を示さなかった。

以上の前向き試験の結果よりTracey G. Simon氏らは以下のように結論を述べている。”肝細胞がん発症リスクはアスピリンの使用量と関係性があることが本試験により証明されました。通常量のアスピリンを週1.5回以上の頻度で使用する人はそうでない人に比べて肝細胞がん発症のリスクが減少します。なお、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) においては同様の効果が確認されませんでした。”

Association Between Aspirin Use and Risk of Hepatocellular Carcinoma(JAMA Oncol. Published online October 4, 2018. doi:10.1001/jamaoncol.2018.4154)

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