・HER2陽性進行性胃がん患者に対する第1/2相試験
・2次治療としてのキイトルーダ+Margetuximabの有効性・安全性を検証
・忍容性が良好で、客観的奏効率は41.4%、病勢コントロール率は72.4%だった
2019年1月17日~1月19日に米国・サンフランシスコで開催された消化器がんシンポジウム(ASCO GI 2019)にて、HER2陽性進行性胃がん患者に対する2次治療としての抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)+抗HER2抗体薬であるMargetuximab併用療法の有効性、安全性を検証した第1/2相試験(NCT02689284)の結果が University of Chicago Medical Center and Biological SciencesのDaniel V.T. Catenacci氏らにより公表された。
本試験は、 HER2陽性進行性胃がん患者または食道胃接合部腺がん患者に対して3週を1サイクルとして1日目にキイトルーダ200mg+1日目にMargetuximab 15mg/kg併用療法を投与し、主要評価項目として安全性、客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として病勢コントロール率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した第1/2相試験である。
本試験が実施された背景として、HER2陽性進行性胃がんまたは食道胃接合部腺がん患者に対する2次治療としての現在の標準治療はラムシルマブ(商品名サイラムザ)±パクリタキセル療法であるが、この治療を受けた胃がん、特にHER陽性胃がん患者は食道胃接合部腺がん患者に比べて治療反応性が低いことが挙げられる。そこで、既存の抗HER2抗体薬とはFc領域が異なり、ADCC活性(抗体依存性細胞障害活性)が強固された抗HER2抗体薬Margetuximabの有用性が本試験より検証された。
本試験の結果、主要評価項目である全患者(胃がん、食道胃接合部腺がん)群における安全性は下記の通りである。グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は18.2%(N=12/66人)。重篤な有害事象(SAE)は5人の患者で確認され、その内訳は脱水症、糖尿病性ケトアシドーシス、低血圧、肺炎、自己免疫性肝炎であった。
また、HER2陽性胃がん患者(N=29人)群における客観的奏効率(ORR)は41.4%(95%信頼区間:23.5%-61.1%,N=12/29人)、病勢コントロール率(DCR)は72.4%(95%信頼区間:52.8%-87.3%,N=21/29人)、無増悪生存期間(PFS)中央値は5.5ヶ月(95%信頼区間:2.3-7.6ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は未到達であった。
以上の第1/2相試験の結果より、Daniel V.T. Catenacci氏らは以下のように結論を述べている。”HER2陽性進行性胃がん患者に対する2次治療としてのキイトルーダ+Margetuximab併用療法は忍容性が良好で、抗腫瘍効果もある化学療法フリーの治療レジメンです。”