・プラチナ製剤抵抗性のある再発進行性尿路上皮がん患者が対象の第3相試験
・キイトルーダ単剤療法の有効性・安全性を化学療法と比較検証
・1年全生存率と2年全生存率は、化学療法群よりもキイトルーダ群で高率だった
2019年5月3日、医学誌『Annals of Oncology』にてプラチナ製剤抵抗性のある再発進行性尿路上皮がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるペンブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のKEYNOTE-045試験の2年追跡調査の結果がCHU de Québec-Université LavalのY Fradet氏らにより公表された。
KEYNOTE-045試験とは、ファーストライン治療歴後の再発進行性尿路上皮がん患者(N=542人)に対して3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg単剤療法を投与する群(N=270人)、または主治医選択による化学療法(3週を1サイクルとしてパクリタキセル175mg/m2,ドセタキセル75mg/m2,ビンフルニン20 mg/m2)を投与する群(N=272人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として盲検下独立中央判定(BICR)により全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、重要な副次評価項目として客観的奏効率(ORR)を比較検証した第3相試験である。
本試験が実施された背景として、再発進行性尿路上皮がん患者に対する2次治療として新しい治療法の確立が必要とされている。そして、KEYNOTE-045試験により治療歴のある再発進行性尿路上皮がん患者に対する2次治療としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法は、全生存期間(OS)が統計学的有意に優れることが示されている。以上の背景より、KEYNOTE-045試験の長期フォローアップ試験の結果が公表された。
本試験のフォローアップ期間中央値27.7ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である盲検下独立中央判定(BICR)により1年全生存率(OS)はキイトルーダ群44.2%に対して主治医選択による化学療法群29.8%、2年全生存率(OS)はキイトルーダ群26.9%に対して主治医選択による化学療法群14.3%、主治医選択による化学療法群よりもキイトルーダ群で高率であった。
また、もう1つの主要評価項目である盲検下独立中央判定(BICR)により1年無増悪生存率(PFS)、2年無増悪生存率(PFS)は両群間で統計学的有意な差は確認されなかったものの、主治医選択による化学療法群よりもキイトルーダ群で高率であった。
重要な副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はキイトルーダ群21.1%に対して主治医選択による化学療法群11.0%、主治医選択による化学療法群よりもキイトルーダ群で高率であった。また、奏効持続期間(DOR)中央値はキイトルーダ群未到達(1.6−30.0ヶ月)に対して主治医選択による化学療法群4.4ヶ月(1.4−29.9ヶ月)を示した。
一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率はキイトルーダ群62.0%に対して主治医選択による化学療法群90.6%、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はキイトルーダ群16.5%に対して主治医選択による化学療法群50.2%、キイトルーダ群よりも主治医選択による化学療法群で高率であった。
以上のKEYNOTE-045試験の2年追跡調査の結果よりY Fradet氏らは以下のように結論を述べている。”プラチナ製剤抵抗性のある再発進行性尿路上皮がん患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法は、2年以上の長期に渡って臨床的意義のある有用性があることが示されました。”