・前治療歴1~3レジメンのある再発難治性多発性骨髄腫患者が対象の第3相試験
・ベルケイド+ポマリスト+デキサメタゾン併用療法の有効性・安全性を検証
・ポマリスト+デキサメタゾン併用療法に比べて、病勢進行または死亡のリスクを39%統計学的有意に改善した
2019年5月13日、医学誌『The Lancet Oncology』にて治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対するプロテアソーム阻害薬(PI)であるボルテゾミブ(商品名ベルケイド;以下ベルケイド)+免疫調節薬(iMids)であるポマリドミド(商品名ポマリスト;以下ポマリスト)+デキサメタゾン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のOPTIMISMM試験(NCT01734928)結果がJerome Lipper Multiple Myeloma CenterのPaul G Richardson氏らにより公表された。
OPTIMISMM試験とは、前治療歴1~3レジメンのある再発難治性多発性骨髄腫患者(N=559人)に対して21日を1サイクルとして1、4、8、11日目(初回より8サイクル目まで、それ以降は1、8日目)にベルケイド1.3mg/m2+1~14日目にポマリスト4mg+デキサメタゾン10~20mg併用療法を投与する群(N=281人)、または21日を1サイクルとして1、4、8、11日目(初回より8サイクル目まで、それ以降は1、8日目)にベルケイド1.3mg/m2+デキサメタゾン10~20mg併用療法を投与する群(N=278人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として独立評価委員会(IRC)による無増悪生存期間(PFS)、安全性などを比較検証した多施設共同オープンラベルランダム化の第3相試験である。
本試験が実施された背景として、第1/2相試験にて再発難治性多発性骨髄腫患者に対するベルケイド+ポマリスト+デキサメタゾン併用療法の有効性、安全性が確認されているためである。以上の背景より、第3相試験にて本治療の有用性を確認する目的で本試験が実施された。
本試験のフォローアップ期間中央値15.9ヶ月(9.9-21.7ヶ月)時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はベルケイド+ポマリスト+デキサメタゾン併用群11.2ヶ月(95%信頼区間:9.66-13.73ヶ月)に対してポマリスト+デキサメタゾン併用群7.1ヶ月(95%信頼区間:5.88-8.48ヶ月)、ベルケイド+ポマリスト+デキサメタゾン併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを39%統計学的有意に改善した(HR:0.61,95%信頼区間:0.49-0.77,P<0.0001)。
一方の安全性として、もっとも多くの患者で確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)としては末梢神経障害がベルケイド+ポマリスト+デキサメタゾン併用群42%に対してポマリスト+デキサメタゾン併用群9%、発熱好中球減少症が3%に対して0%、感染症が31%に対して18%、血小板減少性が27%に対して29%それぞれ示した。また、重篤な有害事象(SAE)としてはベルケイド+ポマリスト+デキサメタゾン併用群57%に対してポマリスト+デキサメタゾン併用群42%の患者で確認された。
以上のOPTIMISMM試験の結果よりPaul G Richardson氏らは以下のように結論を述べている。”再発難治性多発性骨髄腫患者に対するベルケイド+ポマリスト+デキサメタゾン併用療法は、ポマリスト+デキサメタゾン併用療法に比べて無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しました。この試験の結果、本治療が再発難治性多発性骨髄腫の治療選択肢になり得る可能性を示しているでしょう。”