・再発難治性慢性リンパ球性白血病患者が対象の第3相試験
・アカラブルチニブ単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・標準療法と比較して、病勢進行または死亡のリスクを69%統計学的有意に改善
2019年6月13日から16日までオランダ・アムステルダムで開催された欧州血液学会(EHA)にて、再発難治性慢性リンパ球性白血病(RRCLL)患者に対するBTK阻害薬であるアカラブルチニブ単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のASCEND試験(NCT02970318)の結果がVita-Salute San RaffaeleのPaolo Ghia氏らにより公表された。
ASCEND試験とは、再発難治性慢性リンパ球性白血病(RRCLL)患者(N=310人)に対して1日2回アカラブルチニブ100mg単剤療法を投与する群(N=155人)、または主治医選択の標準治療(リツキシマブ+イデラリシブまたはリツキシマブ+ベンダムスチン)を投与する群(N=155人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、安全性を検証した国際多施設共同無作為化オープンラベルの第3相試験である。
本試験が実施された背景として、導入療法を受けた慢性リンパ球性白血病(RRCLL)患者の大半は再発を経験し、その後の治療が必要である。BTK阻害薬であるアカラブルチニブ単剤療法は再発難治性慢性リンパ球性白血病(RRCLL)に対して有用性が他の臨床試験で確認されており、以上の背景より本試験が実施された。
本試験の結果、フォローアップ期間中央値16.1ヶ月時点における主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はアカラブルチニブ群未到達に対して主治医選択の標準治療群16.5ヶ月、アカラブルチニブ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを69%統計学的有意に改善した(ハザード比:0.31,95%信頼区間:0.20-0.49, P<.0001)。また、12ヶ月無増悪生存率(PFS)はアカラブルチニブ群88%に対して主治医選択の標準治療群68%を示した。
副次評価項目である12ヶ月全生存率(OS)はアカラブルチニブ群94%に対して主治医選択の標準治療群91%を示し、アカラブルチニブ群で死亡(OS)のリスクを23%減少した。客観的奏効率(ORR)はアカラブルチニブ群81%に対して主治医選択の標準治療群75%を示した。
一方の安全性として、15%以上の患者で確認された全グレードの有害事象(AE)は下記の通りである。アカラブルチニブ群では頭痛22%、好中球減少症19%、下痢18%、貧血15%、咳15%に対してリツキサン+イデラリシブ群では下痢47%、好中球減少症45%、発熱18%、咳15%、リツキシマブ+ベンダムスチン群では好中球減少症34%、インフュージョンリアクション23%、疲労23%、吐き気20%、発熱17%。
また、アカラブルチニブ群の5%以上の患者で確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は下記の通りである。好中球減少症16%、貧血12%、肺炎5%に対してリツキサン+イデラリシブ群では好中球減少症40%、下痢24%、リツキシマブ+ベンダムスチン群では好中球減少症31%、貧血9%、便秘6%。
以上のASCEND試験の結果よりPaolo Ghia氏らは以下のように結論を述べている。”再発難治性慢性リンパ球性白血病(RRCLL)患者に対するBTK阻害薬であるアカラブルチニブ単剤療法は、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善し、主治医選択の標準治療群に比べて忍容性も良好でした。”