・慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者が対象の第3相試験
・5年長期フォローアップ期間におけるイムブルビカ単剤療法の有効性・安全性を検証
・60ヶ月無増悪生存率70%を示し、遺伝子変異を有する群において病勢進行または死亡のリスクを92%減少
2019年6月13日から16日までオランダ・アムステルダムで開催された欧州血液学会(EHA)にて、未治療の65歳以上の慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者に対するブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるイブルチニブ(商品名イムブルビカ;以下イムブルビカ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のRESONATE-2試験(PCYC-1115/1116; NCT01722487)の5年長期フォローアップ解析の結果がAzienda Ospedaliera Niguarda Ca’ GrandaのAlessandra Tedeschi氏らにより公表された。
RESONATE-2試験とは、染色体17p欠失を除く未治療の65歳以上の慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者(N=269人)に対して1日1回イムブルビカ420mg単剤療法を投与する群、または28日を1サイクルとして1,15日目にクロラムブシル0.5–0.8 mg/kg単剤療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)などを比較検証した国際多施設共同ランダム化第3相試験である。
本試験の結果、フォローアップ期間中央値5年時点における主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)は、クロラムブシル群に比べてイムブルビカ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを85%(HR:0.15,95%信頼区間:0.10-0.22)減少。60ヶ月無増悪生存率(PFS)はイムブルビカ群70%に対してクロラムブシル群12%を示した。
また、遺伝子変異別の無増悪生存期間(PFS)の結果は下記の通りである。免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子(IGHV)変異を有する群ではクロラムブシル群に比べてイムブルビカ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを89%(HR:0.11,95%信頼区間:0.06-0.19)減少。11q欠失を有する群ではクロラムブシル群に比べてイムブルビカ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを97%(HR:0.03,95%信頼区間:0.01-0.11)減少。免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子(IGHV)変異、11q欠失、TP53遺伝子変異のいずれかまたは全てを有する群ではクロラムブシル群に比べてイムブルビカ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを92%(HR:0.08,95%信頼区間:0.05-0.15)減少を示した。
副次評価項目である60ヶ月全生存率(OS)はイムブルビカ群83%に対してクロラムブシル群68%を示した。また、イムブルビカ群の客観的奏効率(ORR)は92%、完全奏効率(CR)は30%(フォローアップ期間中央値18ヶ月時点では11%)を示した。
一方の安全性として、イムブルビカ群で最も多くの患者で確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は好中球減少症13%、肺炎12%、高血圧8%、貧血7%、低ナトリウム血症6%、心房細動5%、および白内障5%を示した。
イムブルビカの有害事象(AE)により減量した患者は0-1年目で5%、1-2年目で2%、2-3年目で3%、3-4年目で1%、4-5年目で0%。イムブルビカの有害事象(AE)により治療中止した患者は0-1年目で7%、1-2年目で6%、2-3年目で5%、3-4年目で6%、4-5年目で1%であった。
以上のRESONATE-2試験の5年長期フォローアップ解析の結果よりAlessandra Tedeschi氏らは以下のように結論を述べている。”慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者に対するブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イムブルビカ単剤療法は、長期間に渡り臨床的有用性を示し、遺伝子変異のある患者に対してもその有用性が確認されました。”