2019年8月29日、医学誌『The Lancet Oncology』にてプラチナ感受性のある再発卵巣がん患者に対するポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬であるニラパリブ+抗VEGF抗体であるベバシズマブ(商品名アバスチン;以下アバスチン)併用療法の有効性を比較検証した第1/2相のNSGO-AVANOVA2/ENGOT-ov24試験(NCT02354131)の結果がCopenhagen University HospitalのMansoor Raza Mirza氏らにより公表された。
本試験は、プラチナ感受性のある再発卵巣がん患者(N=97人)に対してニラパリブ+アバスチン併用療法を投与する群(N=48人)、またはニラパリブ単剤療法を投与する群(N=49人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として病勢コントロール率(DCR)を比較検証した第1/2相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値16.9ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はニラパリブ+アバスチン群11.9ヶ月(95%信頼区間:8.5-16.7ヶ月)に対してニラパリブ群5.5ヶ月(95%信頼区間:3.8-6.3ヶ月)、ニラパリブ+アバスチン群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを65%統計学的有意に改善した(HR:0.35,95%信頼区間:0.21-0.57,P<0.0001)。
一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率はニラパリブ+アバスチン群65%(N=31人)に対してニラパリブ群45%(N=22人)、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は下記の通りである。貧血はニラパリブ+アバスチン群15%に対してニラパリブ群18%、血小板減少症はニラパリブ+アバスチン群10%に対してニラパリブ群12%、高血圧はニラパリブ+アバスチン群21%に対してニラパリブ群0%。なお、両群間で治療関連有害事象(TRAE)による死亡は1人の患者も確認されなかった。
以上のNSGO-AVANOVA2/ENGOT-ov24試験の結果よりMansoor Raza Mirza氏らは以下のように結論を述べている。”プラチナ感受性のある再発卵巣がん患者に対するPARP阻害薬ニラパリブ+抗VEGF抗体アバスチン併用療法は、化学療法フリーレジメンにも関わらず無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しました。”