・治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者が対象の第3相試験
・イサツキシマブ+ポマリスト+デキサメタゾン併用療法の有効性・安全性を比較検証
・ポマリスト+デキサメタゾン群に比べて、病勢進行または死亡のリスクを40.4%統計学的有意に改善
2019年11月14日、医学誌『The Lancet』にて治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対する抗CD38モノクローナル抗体であるイサツキシマブ+ポマリドミド(商品名ポマリスト;ポマリスト)+デキサメタゾン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のICARIA-MM試験(NCT02990338)の結果がInstitut Universitaire du Cancer Toulouse OncopoleのMichel Attal氏らにより公表された。
ICARIA-MM試験とは、少なくとも2レジメン以上の治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者(N=307人)に対して28日を1サイクルとして1,8,15,22日目(2サイクル目以降は1,15日目)にイサツキシマブ10mg/kg+1~21日目にポマリスト4mg+1,8,15,22日目にデキサメタゾン40mg(75歳以上は20mg)併用療法を投与する群(N=154人)、または28日を1サイクルとして1~21日目にポマリスト4mg+1,8,15,22日目にデキサメタゾン40mg(75歳以上は20mg)併用療法を投与する群(N=153人)に1対1の割合で振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証した国際多施設共同ランダム化の第3相試験である。
本試験が実施された背景として、第1b相試験にて再発難治性多発性骨髄腫患者に対するイサツキシマブ+ポマリスト+デキサメタゾン併用療法は客観的奏効率(ORR)65%を示している。以上の背景より、大規模臨床試験にて本治療の有用性を確認する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値11.6ヵ月時点における結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はイサツキシマブ+ポマリスト+デキサメタゾン群11.5ヵ月(95%信頼区間:8.9‐13.9ヵ月)に対してポマリスト+デキサメタゾン群6.5ヵ月(95%信頼区間:4.5‐8.3ヵ月)、イサツキシマブ+ポマリスト+デキサメタゾン群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを40.4%(HR:0.596,95%信頼区間:0.44‐0.81,P=0.001)統計学的有意に改善した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)はインフュージョンリアクションがイサツキシマブ+ポマリスト+デキサメタゾン群38%に対してポマリスト+デキサメタゾン群0%、上気道感染症が28%に対して17%、下痢が26%に対して20%それぞれの患者で確認された。また、重篤な有害事象(SAE)発症率はイサツキシマブ+ポマリスト+デキサメタゾン群8%に対してポマリスト+デキサメタゾン群9%、治療関連有害事象(TRAE)による死亡率は1%未満に対して1%それぞれの患者で確認された。
以上のICARIA-MM試験の結果よりMichel Attal氏らは以下のように結論を述べている。”治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対する抗CD38モノクローナル抗体であるイサツキシマブ+ポマリスト+デキサメタゾン併用療法は、無増悪生存期間(PFS)を統計学有意に改善し、忍容性も問題ないことから本疾患の新たな治療選択肢になり得る可能性が示唆されました。”