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FGFR2b高発現の進行性胃・胃食道接合部腺がんに対する抗FGF受容体2b抗体Bemarituzumab、客観的奏効率17.9%を示す

この記事の3つのポイント
・胃・胃食道接合部腺がんを含む進行性固形がん患者が対象の第1相試験
・抗FGF受容体2b抗体Bemarituzumab単剤療法有効性安全性を検証
・FGFR2b高発現患者の客観的奏効率は17.9%、奏効持続期間中央値は12.6週を示した

2020年3月13日、『Journal of Clinical Oncology』にて胃・胃食道接合部腺がんを含む進行性固形がん患者に対する抗FGF受容体2b抗体であるBemarituzumab単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT02318329)の結果がUniversity of ChicagoのDaniel V.T. Catenacci氏らにより公表された。

本試験は、FGFR2b高発現の胃・胃食道接合部腺がんを含む進行性固形がん患者に対して2週を1サイクルとしてBemarituzumab 0.3~15mg/kg単剤療法を投与し、主要評価項目として用量制限毒性DLT)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを検証した第1相試験である。なお、本試験は3コーホートに分かれており、コーホート1aは進行性固形がん19人、コーホート1bは進行性胃・胃食道接合部腺がん8人、コーホート2はFGFR2b高発現の進行性胃・胃食道接合部腺がん52人を対象にしている。

本試験が開始された背景として、胃・胃食道接合部がん患者の約10%はFGFR2b高発現であり、その予後は不良である。基礎試験にて、抗FGF受容体2b抗体であるBemarituzumabは忍容性が良好であり、FGFR2b高発現の固形がんに対して有効性がある可能性が示唆されている。以上の背景より、本試験が開始された。

本試験の結果、主要評価項目である用量制限毒性(DLT)は確認されず、第2相試験推奨用量(RPIID)は2週を1サイクルとしてBemarituzumab 15mg/kgとして決定された。最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は疲労、吐き気、ドライアイ、グレード3の治療関連有害事象(TRAE)は吐き気、貧血、好中球減少症、AST上昇、アルカリホスファターゼ上昇、嘔吐、インフュージョンリアクションであった。なお、グレード4の治療関連有害事象(TRAE)を発症した患者はいなかった。

副次評価項目であるコーホート2におけるFGFR2b高発現の進行性胃・胃食道接合部腺がんの客観的奏効率(ORR)は17.9%(95%信頼区間:6.1%‐36.9%)、奏効持続期間(DOR)中央値は12.6週(95%信頼区間:9.1‐19.1週)を示した。

以上の第1相試験の結果よりDaniel V.T. Catenacci氏らは以下のように結論を述べている。”FGFR2b高発現の進行性胃・胃食道接合部腺がんに対する抗FGF受容体2b抗体であるBemarituzumab単剤療法は、忍容性も良好であり、抗腫瘍効果も良好でした。現在、FGFR2b高発現の胃・胃食道接合部腺がんに対するファーストライン治療としてのBemarituzumab+化学療法の有用性が第3相試験にて検証されております。”

Phase I Escalation and Expansion Study of Bemarituzumab (FPA144) in Patients With Advanced Solid Tumors and FGFR2b-Selected Gastroesophageal Adenocarcinoma(J Clin Oncol. 2020 Mar 13:JCO1901834. doi: 10.1200/JCO.19.01834.)

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