・プラチナ系抗がん剤感受性のある再発卵巣がん患者が対象の第3相試験
・アバスチン+リポソーム化ドキソルビシン+カルボプラチンの有効性・安全性を検証
・対照群に対して、病勢進行または死亡のリスクを19%統計学有意に改善
2020年4月16日、医学誌『The Lancet Oncology』にてプラチナ系抗がん剤感受性のある再発卵巣がん患者に対する抗VEGF抗体薬であるベバシズマブ(商品名アバスチン;以下アバスチン)+リポソーム化ドキソルビシン+カルボプラチンの有効性、安全性を検証した第3相試験(NCT01837251)の結果がGynecologic Oncology CenterのJacobus Pfisterer氏らにより公表された。
本試験は、プラチナ系抗がん剤感受性のある再発卵巣がん患者に対象に、4週を1サイクルとして1、15日目に抗VEGF抗体薬であるアバスチン+1日目にリポソーム化ドキソルビシン+1日目にカルボプラチンを併用して最大6サイクル投与し、その後3週を1サイクルとしてアバスチン単剤を投与する群、または3週を1サイクルとして1日目にアバスチン+ゲムシタビン+カルボプラチンを併用して最大6サイクル投与し、その後3週を1サイクルとしてアバスチン単剤を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として安全性などを比較検証した第3相試験である。
本試験が開始された背景として、プラチナ系抗がん剤感受性のある再発卵巣がん患者に対するアバスチン+標準化学療法に対するアバスチン+リポソーム化ドキソルビシン+カルボプラチン併用療法の有用性を検証するためである。
本試験のフォローアップ期間中央値11.3~12.4ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はアバスチン+リポソーム化ドキソルビシン+カルボプラチン群13.3ヶ月(95%信頼区間:11.7‐14.2ヶ月)に対してアバスチン+ゲムシタビン+カルボプラチン群11.6ヶ月(95%信頼区間:11.0‐12.7ヶ月)、アバスチン+リポソーム化ドキソルビシン+カルボプラチン群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを19%(HR:0.81,95%信頼区間:0.68‐0.96,P=0.012)統計学有意に改善した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。高血圧がアバスチン+リポソーム化ドキソルビシン+カルボプラチン群27%に対してアバスチン+ゲムシタビン+カルボプラチン群20%、好中球減少症が12%に対して22%。
以上の第3相試験の結果よりJacobus Pfisterer氏らは以下のように結論を述べている。”プラチナ系抗がん剤感受性のある再発卵巣がん患者に対するアバスチン+リポソーム化ドキソルビシン+カルボプラチンは、標準化学療法に比べて無増悪生存期間(PFS)を改善しました。以上の結果より、本治療は新しい治療選択肢になり得る可能性が示唆されました。”