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FAK阻害薬GSK2256098、NF2変異陽性の再発難治性髄膜腫に対する6ヶ月無増悪生存率を達成

この記事の3つのポイント
・NF2変異陽性の再発難治性髄膜腫患者が対象の第2相試験
・FAK阻害薬GSK2256098の有効性安全性を検証
・6ヶ月無増悪生存率グレード1で83%、グレード2/3で33%を示した

2020年5月29日~31日、バーチャルミーティングで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2020)にてNF2変異陽性の再発難治性髄膜腫患者に対するFAK阻害薬であるGSK2256098単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02523014)の結果がMassachusetts General HospitalのPriscilla Kaliopi Brastianos氏らにより公表された。

本試験は、SMO、AKT1/PIK3CA/PTEN、NF2/CDK経路変異陽性の再発難治性髄膜腫患者に対して各阻害薬を投与し、主要評価項目として6ヶ月無増悪生存率(PFS:主要評価項目の達成基準はグレード1群で65%以上、グレード2/3群で41.5%以上として定義)、客観的奏効率ORR)、副次評価項目として全生存期間OS)、安全性などを検証した第2相試験である。なお、今回公表された結果はNF2変異陽性再発難治性髄膜腫患者に対する1日2回GSK2256098 750mg単剤投与の結果である。

髄膜腫は原発性脳腫瘍の中で最も多く、悪性度はグレード1、グレード2(異型性)、グレード3(退形成性/悪性)の3段階に分かれる。完全切除後の髄膜腫の再発率はグレード1で20%、グレード2で40%、グレード3で80%であり、外科手術、放射線治療に対して奏効しなかった場合の有効な治療法が存在しない。以上の背景よりFAK阻害薬であるGSK2256098の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験に登録されたNF2変異陽性の患者38人の患者の年齢中央値は64歳(22-76歳)。性別は男性51.4%、女性48.6%。ECOGパフォーマンスステータスはスコア0が29.7%、スコア1が59.5%、スコア2が10.8%。

前治療歴の種類は手術94.6%、放射線照射75.7%、薬物療法40.5%。前治療歴は1レジメン5.4%、2レジメン10.8%、2レジメン51.4%、3レジメン32.4%。

本試験の主要評価項目である6ヶ月無増悪生存率(PFS)はグレード1群で83%(95%信頼区間:51%~98%)、グレード2/3群で33%(95%信頼区間:16%~55%)を示し、グレード1群、グレード2/3群の両群間で主要評価項目を達成した。副次評価項目である全生存期間(OS)は中央値はグレード1群未到達、グレード2/3群21.5ヵ月を示した。

安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率は18.9%を示し、タンパク尿症、発疹、疼痛、ALT、AST、胆嚢炎、高トリグリセリド血症、失行、リンパ球減少であった。グレード4/5の有害事象(AE)を発症した患者は存在しなかった。

以上の第2相試験の結果よりPriscilla Kaliopi Brastianos氏らは「NF2変異陽性の再発難治性髄膜腫患者に対するFAK阻害薬であるGSK2256098単剤療法は、悪性度に関係なく6ヶ月無増悪生存率(PFS)を統計学的有意に改善し、忍容性も問題ありませんでした」と結論を述べている。

Alliance A071401: Phase II trial of FAK inhibition in meningiomas with somatic NF2 mutations.(2020 ASCO Virtual Scientific Program,Abstract No:2502)

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