・プラチナ感受性のある再発卵巣がん患者が対象の第1/2相試験
・ニラパリブ+アバスチン併用療法の有効性・安全性を検証
・併用療法の無増悪生存期間は12.5ヶ月で、ニラパリブ単剤5.5ヶ月に比べて有意に延長
2020年5月29日~31日、バーチャルミーティングで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2020)にてプラチナ感受性のある再発卵巣がん患者に対してポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬であるニラパリブ+抗VEGF抗体であるベバシズマブ(商品名アバスチン;以下アバスチン)併用療法の有効性、安全性を検証した第1/2相のNSGO-AVANOVA2/ENGOT-OV24試験(NCT02354131)の結果がCopenhagen University HospitalのMansoor Raza Mirza氏らにより公表された。
NSGO-AVANOVA2/ENGOT-OV24試験とは、プラチナ感受性のある再発卵巣がん患者(N=97人)に対して1日1回ニラパリブ300mg+3週を1サイクルとしてアバスチン15mg/kg併用療法を投与する群(N=49人)、または1日1回ニラパリブ300mg単剤療法を投与する群(N=48人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として病勢コントロール率(DCR)などを比較検証した第1/2相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、ニラパリブ+アバスチン併用群12.5ヶ月に対してニラパリブ単剤群5.5ヶ月、ニラパリブ+アバスチン併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを66%(HR:0.34,95%信頼区間:0.21-0.55,P<0.0001)統計学的有意に改善した。
また、サブグループ解析の結果、ニラパリブ+アバスチン併用群で相同組換え修復異常(HRD)陽性群(N=54人)では病勢進行または死亡(PFS)のリスクを59%(HR:0.41,95%信頼区間:0.23-0.76)、相同組換え修復異常(HRD)陰性群(N=43人)では病勢進行または死亡(PFS)のリスクを60%(HR:0.40,95%信頼区間:0.20-0.79)減少した。
安全性として、グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、高血圧がニラパリブ+アバスチン併用群22.9%に対してニラパリブ単剤群0%、好中球減少症がニラパリブ+アバスチン併用群8.3%に対してニラパリブ単剤群2.0%を示した。それ以外のグレード3~4の有害事象では発症の差が見られなかった。また、QOLを評価するためのEORTC QLQ-C30とOV28を用いた患者レポート結果(PRO)では両群に差が見られなかった。
NSGO-AVANOVA2/ENGOT-OV24試験の結果よりMansoor Raza Mirza氏らは「プラチナ感受性のある再発卵巣がん患者に対するニラパリブ+アバスチン併用療法は、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しました。また、全生存期間(OS)において統計学的有意な差は確認されませんでしたが、ニラパリブ+アバスチン併用群で改善傾向が確認されました」と結論を述べている。