がん情報サイト「オンコロ」

ボシュリフ、慢性骨髄性白血病の適応で追加承認

6月29日、ファイザー株式会社(以下ファイザー)は抗悪性腫瘍剤/チロシンキナーゼ阻害剤であるボシュリフ(一般名ボスチニブ水和物、以下ボシュリフ)が慢性骨髄性白血病(以下CML)を適応症に追加承認を得たと発表した。

CMLは多能性造血幹細胞の異常により惹起される白血病であり、ほとんどの患者で9番染色体と22番染色体の相互転座が白血病細胞で見られ、この転座によりBCR-ABLがん遺伝子を含むフィラデルフィア染色体(Ph)が生じる。日本では成人白血病の15~20%を占め、30~50歳代、男性に多い。年間約10万人に1人が発症する。

白血病細胞の増殖には、Ph上のBCR-ABL融合遺伝子よって産出されるBCR-ABLチロシンキナーゼの活性化が関与している。ボシュリフはSRC/ABLチロシンキナーゼ阻害薬でありBCR-ABLチロシンキナーゼの活性化を抑制することで抗腫瘍効果を発揮する。日本国内において同剤は、2014年に「前治療薬に抵抗性または不耐容のCML」を適応症として発売。今回の承認は初発のCMLを対象とした国内での第2相B1871048試験と海外での第3相BFORE試験の結果に基づく。

ファイザーR&D合同会社社長の石橋太郎氏は「医学の進展によりCML患者さんの予後は大きく改善しましたが、依然として、初発のCMLに対する新たな治療選択肢のニーズは高い状況が続いています。ボシュリフはこれまで前治療薬に抵抗性または不耐容となったCML患者さんの治療に貢献してまいりましたが、本日、CMLのファ―ストライン治療薬としても使用できることになったことを嬉しく思います。臨床試験の結果から、有効な治療選択肢となることが示されており、本剤を必要とする患者さんとご家族の福音となることを願っております」と述べている。

慢性骨髄性白血病(CML)とは
多能性造血幹細胞の異常により惹起され、多くが白血病細胞に9番染色体と22番染色体の相互転座が認められる。この転座によりBCR-ABLがん遺伝子を含むフィラデルフィア染色体を生じる。慢性期(CP)、移行期(AP)、急性転化期(BP)の3つの病期があり、約85%はCP期に診断される。病期が進行するまで無症状であることが多く、無治療の場合はCP期が4~6年続いた後にAP期、BP期へと進行し、重篤な貧血、出血、感染などの症状を発現し、死に至ることもある。

B1871048試験とは
初発の日本人CP CML患者を対象にボシュリフ単剤療法有効性安全性を評価した第2相試験。60名のPh+CP CML患者にボシュリフを400mgより開始し1日1回投与。主要評価項目である12ヶ月時点の分子遺伝学的大奏功(MMR)率の達成をはじめとして優れた有効性を示した。また安全プロファイルは既知と同様であった。

BFORE(Bosutinib trial in First line chrOnic myelogenous leukemia tREatment)試験とは
初発のPh+CP CMLに対してボシュリフの有効性と安全性を評価した他施設共同国際第3相試験。ボシュリフ400mg投与群と標準治療薬であるイマチニブ400mg投与群に1:1で割り付け主要評価項目をMMR率で評価。ボシュリフはイマチニブに対して優越性を示した。本試験に日本は参加していない。

参照元:
ファイザー株式会社 プレスリリース

×
モバイルバージョンを終了