・再発性/難治性急性リンパ性白血病およびリンパ芽球性リンパ腫患者が対象の第1相試験
・ベネクレクスタ+navitoclax併用療法の有効性・安全性を比較検証
・全寛解率は54%、微小残存病変陰性率は33%であった
2020年6月11日~14日、バーチャルミーティングで開催された第25回欧州血液学会議(EHA 2020)にて再発性/難治性急性リンパ性白血病(ALL)およびリンパ芽球性リンパ腫(LBL)患者に対するBCL-2阻害薬であるベネトクラクス(商品名:ベネクレクスタ;以下ベネクレクスタ)+BCL-2/BCL-XL/BCL-W阻害薬であるnavitoclax併用療法の安全性、有効性を検証した第1相試験(NCT03181126)の結果がMD Anderson Cancer CenterのElias Jabbour氏らにより公表された。
本試験は、再発性/難治性急性リンパ性白血病(ALL)およびリンパ芽球性リンパ腫(LBL)患者に対してベネクレクスタ400mg+navitoclax 25~100mg+化学療法の併用療法を投与し、主要評価項目として用量制限毒性(DLT)、副次評価項目として全寛解率(CR:完全寛解、CRi:血液の回復は不十分だが骨髄では完全寛解、CRp:血小板の回復は不十分だがそれ以外は完全寛解を合わせた割合)などを検証した多施設共同非盲検下試験である。
なお、navitoclaxは25mg(用量レベル1)、50mg(用量レベル2)、100mg(用量レベル3)の3つに分けられた。
本試験に登録された46人の患者のがん種はB細胞急性リンパ性白血病(ALL)25人、T細胞急性リンパ性白血病(ALL)18人、リンパ芽球性リンパ腫(LBL)3人。年齢中央値29歳(6-72歳)。前治療歴中央値は4レジメン(1-10レジメン)。
本試験主要評価項目である用量制限毒性(DLT)は7人の患者で確認され、その内訳は用量レベル1で好中球減少症、用量レベル2で好中球減少症および薬物誘発性肝障害、用量レベル3で虚血性腸炎、高ビリルビン血症、汎血球減少症などであった。
最も多くの患者で確認されたグレード3〜4の有害事象(AE)は発熱性好中球減少症39%、好中球減少症26%、低カリウム血症24%を示した。また、グレード3~4の非血液関連性治療関連有害事象(TRAE)を発症した患者は嘔吐3人、ALT上昇2人、敗血症2人を示した。
副次評価項目である全寛解率は54%(N=25人)、微小残存病変(MRD)陰性率は33%(N=15人)を示した。全生存期間(OS)中央値はB細胞急性リンパ性白血病(ALL)群9.7ヶ月、T細胞急性リンパ性白血病(ALL)6.6ヶ月。24%(N=11人)が幹細胞移植またはCAR-T療法へ進んだ。なお、小児患者群における全寛解率は58%、微小残存病変(MRD)陰性率は50%、全生存期間(OS)中央値9.7ヶ月、成人と同様の結果を示した。
以上の第1相試験の結果よりElias Jabbour氏らは「再発性/難治性急性リンパ性白血病(ALL)およびリンパ芽球性リンパ腫(LBL)患者に対するBCL-2阻害薬ベネクレクスタ+BCL-2/BCL-XL/BCL-W阻害薬navitoclax併用療法は、複数治療歴のある患者にも関わらず高い抗腫瘍効果を示しました」と結論を述べている。