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再発性/難治性慢性リンパ性白血病に対するベネクレクスタ、完全寛解率32.6%を示す

この記事の3つのポイント
・再発性/難治性慢性リンパ性白血病が対象の第3b相試験
・ベネクレクスタ単剤/併用療法有効性安全性を比較検証
・全患者における完全寛解率は32.6%

2020年6月11日~14日、バーチャルミーティングで開催された第25回欧州血液学会議(EHA 2020)にて再発性/難治性慢性リンパ性白血病(R/RCLL)患者に対するBCL-2阻害薬であるベネトクラクス(商品名:ベネクレクスタ;以下ベネクレクスタ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3b相のVENICE-I試験(NCT02756611)の結果がCancer Center AmsterdamのArnon P. Kater氏らにより公表された。

VENICE-I試験とは、再発性/難治性慢性リンパ性白血病(R/RCLL)患者に対して1日1回ベネクレクスタ最大400mg単剤療法を投与し、主要評価項目としてBCRシグナル経路阻害薬ナイーブ患者における治療開始48週時点の完全寛解率(CR+CRi)、副次評価項目として微小残存病変MRD)陰性率、客観的奏効率ORR)、無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)などを検証した非盲検下単群の3b相試験である。

本試験に登録された258人の患者背景は下記の通りである。年齢は65歳以上63.6%。性別は男性69.8%。BCRシグナル経路阻害薬治療歴はあり(BCRi-N;以下BCRi-N)191人、なし(BCRi-EXP;以下BCRi-EXP)67人。前治療歴中央値はBCRi-N群1レジメン、BCRi-EXP群3レジメン。17p欠失/TP53異常のある患者はBCRi-N群16.8%、BCRi-EXP群43.3%。

本試験の主要評価項目である治療開始48週時点の完全寛解率(CR+CRi)は全患者で32.6%(95%信頼区間:26.9~38.6)、BCRi-N群35.1%、BCRi-EXP群25.4%を示した。また、副次評価項目である治療開始48週時点の客観的奏効率(ORR)はBCRi-N群85.3%、BCRi-EXP群64.2%を示した。そして、微小残存病変(MRD)陰性率はBCRi-N群35.6%、BCRi-EXP群26.9%を示した。24ヶ月無増悪生存率(PFS)は全患者群77.0%、17p欠失/TP53異常のある患者群67.1%、BCRi-N群79.4%、BCRi-EXP群69.9%であった。

安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率は74.4%(N=192/258人)を示し、その内訳は好中球減少症37.2%(N=96人)、感染症19.0%(N=49人)であった。また、有害事象(AE)による用量減量率12.4%、治療中止率12.8%を示した。なお、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなかった。

以上のVENICE-I試験の結果よりArnon P. Kater氏らは「再発性/難治性慢性リンパ性白血病(R/RCLL)患者に対するBCL-2阻害薬ベネクレクスタ単剤療法は、完全寛解率(CR+CRi)と微小残存病変(MRD)陰性率でその奏効率の深さが示されました」と結論を述べている。

EFFICACY OF VENETOCLAX IN PATIENTS WITH RELAPSED/REFRACTORY CHRONIC LYMPHOCYTIC LEUKEMIA: PRIMARY ENDPOINT ANALYSIS OF THE INTERNATIONAL PHASE 3B TRIAL (VENICE I)(2020 EHA OPEN ACCESS LIBRARY,Abstract No:S156)

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