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卵巣がんに対する1日1回経口投与のPARP阻害薬ゼジューラ発売

11月20日、武田薬品工業株式会社は、経口ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬ゼジューラカプセル100mg(一般名:ニラパリブトシル酸塩水和物、以下ゼジューラ)を発売したと発表した。適応は下記3つ。

ゼジューラの効能又は効果
  • 卵巣癌における初回化学療法後の維持療法
  • 白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法
  • 白金系抗悪性腫瘍剤感受性の相同組換え修復欠損を有する再発卵巣癌

ゼジューラは、1日1回経口投与のPARP阻害剤。2017年3月に、再発性上皮性卵巣がんと卵管がん、または原発性腹膜がんで、白金系抗悪性腫瘍剤を基本とした化学療法で完全奏効または部分奏効が得られた成人患者の維持療法として、米国食品医薬品局(FDA)からの承認を取得していた。日本国内においては、2020年9月に製造販売承認を得ていた。

同剤の承認は、海外臨床第3相試験のPRIMA試験、NOVA試験、海外臨床第2相試験のQUADRA試験、日本人卵巣がん患者を対象とした国内臨床第2相試験のNiraparib-2001試験、Niraparib-2002試験の結果に基づくもの。

武田薬品工業日本オンコロジー事業部長の堀井貴史氏は、「日本の卵巣がんの罹患数は約1万人と言われており、近年、食事の欧米化によって日本でも増加傾向にあります。卵巣は骨盤内にあるため、腫瘍が発生しても自覚症状に乏しく、進行してから初めて発見される方が大半であり、予後不良ながんとして知られています。本剤は卵巣がん患者さんにおける初回および再発の維持療法として、さらに再発卵巣がん患者さんの後方ラインでの治療剤として1日1回単剤で治療可能な唯一のPARP阻害剤です。本剤が国内の卵巣がん患者さんのアンメットニーズに貢献できることを非常に嬉しく思います」と述べている。

卵巣がんにとは
卵巣がんは女性生殖器悪性腫瘍の中で最も死亡者数の多いがん種。卵巣は骨盤内の比較的奥深くに位置する臓器であるため、初期の段階では自覚症状に乏しく、進行期の分布では、半数近くが予後不良な進行期ステージIII・IV期である。自覚症状は腹部膨満感、下腹部痛、頻尿など。基本的な治療はごく初期の段階を除き、手術療法と化学療法の組み合わせである。

PRIMA試験とは
新規に進行卵巣がんと診断され、白金系抗悪性腫瘍剤含有レジメンによる初回化学療法で奏効した症例に対するニラパリブ維持療法の有効性安全性を検討した海外臨床第3相、多施設共同、無作為化二重盲検、プラセボ対照比較試験。

NOVA試験とは
白金系抗悪性腫瘍剤感受性再発卵巣がん症例を対象として、維持療法としてのニラパリブの有効性および安全性を検討した海外臨床第3相、多施設共同、無作為化二重盲検、プラセボ対照比較試験。

QUADRA試験とは
HRD陽性で3または4レジメンの化学療法歴があり、白金系抗悪性腫瘍剤を含むファーストラインで白金系抗悪性腫瘍剤感受性を示した進行・再発性の上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんにおける、ニラパリブの有効性と安全性を検討した海外臨床第2相、多施設共同、非盲検、単群試験。

Niraparib-2001試験とは
直近の白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法で完全奏効又は部分奏効が得られた白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発性上皮性卵巣がん、卵管がん又は原発性腹膜がんの日本人患者を対象としてニラパリブの安全性及び有効性を評価した、国内臨床第2相、多施設共同、非盲検、単群試験。

Niraparib-2002試験とは
3または4ラインの前治療歴を有する進行・再発性の高悪性度漿液性上皮性卵巣がん、卵管がんまたは原発性腹膜がんの日本人患者を対象にニラパリブの有効性および安全性を評価した、国内臨床第2相、多施設共同、非盲検、単群試験。

参照元:
武田薬品工業株式会社 ニュースリリース

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