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再発/難治性多発性骨髄腫に対するREGN5458単剤療法、客観的奏効率35.6%を示す

この記事の3つのポイント
・治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫患者が対象の第1/2相試験
・REGN5458単剤療法有効性安全性を検証
・客観的奏効率35.6%を示す

2020年12月5日~8日、オンラインミーティングで開催された第62回米国血液学会議(ASH 2020)にて前治療歴のある再発/難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対する抗BCMA抗CD3二重特異性抗体であるREGN5458単剤療法の有効性、安全性を検証した第1/2相試験(NCT03761108)の第1相試験の結果がIcahn School of Medicine at Mount SinaiのDeepu Madduri氏らにより公表された。

本試験は、プロテアソーム阻害剤、免疫調整薬、抗CD38抗体を含む3種類以上の全身療法を受けた再発/難治性多発性骨髄腫患者に対して導入療法として週1回REGN5458単剤療法、維持療法として2週ごとに1回REGN5458単剤療法を投与する。主要評価項目として用量制限毒性DLT)、重要な副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)などを検証した第1/2相試験である。

本試験が開始された背景として、多発性骨髄腫(MM)は細胞表面タンパク質B細胞成熟抗原(BCMA)の発現を特徴とする疾患であり、抗BCMA抗CD3の両方に結合する二重特異性抗体であるREGN5458の有用性が期待される。また、別の臨床試験と複数治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫に対するREGN5458単剤療法の良好な抗腫瘍効果が確認されている。以上の背景より、再発難治性多発性骨髄腫患者に対する抗BCMA抗CD3二重特異性抗体であるREGN5458単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験に登録された45人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値は64歳(41-81歳)。ISS分類はステージ2が60%、ステージ3が22.2%。前治療歴中央値は5レジメン(2-17レジメン)、造血幹細胞移植歴は71.1%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。

最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)はサイトカイン放出症候群CRS)37.8%、疲労17.8%、吐き気17.8%、筋肉痛13.3%。サイトカイン放出症候群(CRC)を発症した患者の88.2%はグレード1であり、グレード3以上のサイトカイン放出症候群(CRS)を発症した患者は確認されなかった。なお、グレード4の治療関連有害事象(TRAE)である腎障害、グレード3の肝トランスアミナーゼ上昇によりそれぞれ1人の患者が治療中止に至っている。

客観的奏効率(ORR)は35.6%、奏効を達成した患者の81.3%は最良部分奏効(VGPR)、31.3%は完全奏効(CR)または厳格な完全奏効(sCR)を達成した。また、奏効を達成した43.8%の患者の奏効持続期間(DOR)は4ヵ月以上、18.8%の患者の奏効持続期間(DOR)は8か月以上を示した。

以上の第1/2相試験の結果よりDeepu Madduri氏らは「複数治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対する抗BCMA抗CD3二重特異性抗体であるREGN5458単剤療法は持続的な抗腫瘍効果を示し、有害事象(AE)も管理可能でした」と結論を述べている。また、第1相用量漸増試験は登録中であり、第2相試験の登録者も募集中である。

REGN5458, a BCMA x CD3 Bispecific Monoclonal Antibody, Induces Deep and Durable Responses in Patients with Relapsed/Refractory Multiple Myeloma (RRMM)(62nd ASH Annual Meeting & Exposition,Abstract 291)

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