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未治療の慢性リンパ性白血病 化学療法を含まない併用レジメンとして、ベネトクラクス承認勧告を欧州医薬品委員会より受領

この記事の3つのポイント
・欧州委員会(EC)により承認されれば、ベネトクラクス/オビヌツズマブ併用レジメンは、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対する初の化学療法を含まない固定治療期間の併用レジメンに
・ベネトクラクスについては、欧州医薬品委員会(CHMP)による3つ目の承認勧告、複数のCLL治療におけるベネトクラクスの更なる有益性を支持するもの
・本承認勧告は、第 III 相CLL14試験のデータ[1]に基づき、1 年間にわたるベネトクラクス/オビヌツズマブ併用療法が、標準治療のオビヌツズマブ/クロラムブシル免疫 化学療法レジメンと比較して、無増悪生存期間の延長と、微小残存病変陰性率の増加を示したことを評価

2020年1月31日(米国時間)—グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業であるアッヴィ(NYSE:ABBV)は、欧州医薬品庁の医薬品委員会(CHMP)が、未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)患者に対するオビヌツズマブとの併用療法として、ベネトクラクスの承認勧告を採択したことを発表した。

本承認勧告は、製造販売承認に関する欧州委員会(EC)に向けた科学的推奨事項となり、ECが2020年の前半に最終判断を示すことが見込まれている。

今回のCHMPの承認勧告は、ベネトクラクス/クロラムブシル併用療法の有効性および安全性をオビヌツズマブ/クロラムブシル併用療法と比較した第Ⅲ相CLL14臨床試験の結果に基づいている。

主要評価項目は、治験担当医師の評価に基づく無増悪生存期間(PFS、病勢進行または死亡のみられない期間)であった。

解析が行われた時点で、治験担当医師の判断に基づき、ベネトクラクス/オビヌツズマブ併用療法を受けた患者において、オビヌツズマブ/クロラムブシル併用療法と比較して、優れたPFSを達成したことが示された。

有害事象(AE)は、ベネトクラクスとオビヌツズマブ各単剤の既知の安全性プロファイルと一致していた。

グレードを問わない1件以上のAEがベネトクラクス併用群の94.3%で認められ、最も多く認められたグレード3/4のAEは、発熱性好中球減少症および感染症であった。

腫瘍崩壊症候群(TLS)が、ベネトクラクス/オビヌツズマブ併用療法群のうち3例の患者で報告された(全例がオビヌツズマブの投与中に報告され、ベネトクラクスの投与前)。

CLL14 試験の結果は、2019年の米国臨床腫瘍学会 (ASCO)の年次総会にて発表され、New England Journal of Medicine 誌に掲載された。

ベネトクラクス/リツキシマブ併用療法は、2018 年に再発または難治性(R/R)CLL患者の治療を適応として、ECより承認された。

ベネトクラクス単剤療法は、B細胞受容体シグナル伝達経路阻害剤が適していないか無効、また染色体17p 欠失もしくはTP53変異が認められるR/R CLL成人患者の治療、および化学免疫療法とB細胞受容体シグナル伝達経路阻害剤がいずれも無効、また染色体17p欠失またはTP53変異が認められないCLL成人患者の治療を適応として、すでに欧州で承認されている。

CLL14試験について
多施設共同非盲検無作為化実薬対照第Ⅲ相CLL14試験では、German CLL Study Groupとの綿密な共同の下、依存疾患があり(累積疾患評価尺度のスコアが6超またはクレアランチニンクリアランス70mL/mm未満)、未治療のCLL患者を対象に、ベネトクラクス/オビヌツズマブ併用レジメン(n=216)の有効性および安全性を、オビヌツズマブ/クロラムブシル併用レジメン(n=216)との比較により評価した。

ベネトクラクス/オビヌツズマブ併用療法では、ベネトクラクスの12サイクル固定治療期間の投与とオビヌツズマブの6サイクルの投与を併用し、1 サイクルは 28日とした。

本試験では 432 例の患者が登録され、これらの患者はいずれも、International Workshop on Chronic Lymphocytic Leukemia の規準に従った、未治療の患者であった。

主要評価項目は、治験担当医師の評価に基づくPFSとした

重要な副次評価項目は、末梢血中および骨髄中の微小残存病変陰性、奏効率および完全奏効率であった

ベネトクラクス錠について
ベネトクラクスは、B細胞リンパ腫2(BCL-2)タンパク質に対し、選択的に結合および阻害するファーストインクラスの薬剤。

いくつかの血液がんおよびがん性腫瘍では、BCL-2が増加して、アポトーシスと呼ばれるがん細胞の自然死または自己破壊の過程を阻止する。

ベネトクラクスは、BCL-2タンパク質を標的とし、がん細胞で失われたアポトーシスの過程を回復させる作用がある。

ベネトクラクスは、アッヴィとロシュ社が開発を行っている。

米国ではアッヴィとロシュグループの 一員であるジェネンテック社が共同販売しており、米国以外ではアッヴィが販売している。

これらの数社が共同で BCL-2研究に取り組んでおり、種々の血液がんおよび他のがんを対象に、複数の臨床試験においてベネトクラクスを評価している。

ベネトクラクスは米国を含めて50を超える国で承認されている。日本国内において、本文中にある未治療の慢性リンパ性白血病に関するベネトクラクスは未承認である。

アッヴィとロシュ社は、治療を必要とする、さらに多くの適格な患者にベネトクラクスを提供するため、世界中の規制当局と協力している。

出典
Fischer K, et al. Effect of fixed-duration venetoclax plus obinutuzumab (VenG) on progression-free survival (PFS), and rates and duration of minimal residual disease negativity (MRD–) in previously untreated patients (pts) with chronic lymphocytic leukemia (CLL) and comorbidities. Presented at the 2019 American Society of Clinical Oncology Annual Meeting: June 4, 2019; Chicago.

参照元:
アッヴィ合同会社プレスリリース

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