・新規に同時転移腎細胞がんとして診断された患者が対象の第2相試験
・樹状細胞Ilixadencel+スーテント併用療法の有効性・安全性を比較検証
・客観的奏効率はIlixadencel群42.2%、スーテント単剤群24.0%だった
2020年2月6日~8日に米国・フロリダ州オーランドで開催された臨床免疫腫瘍学シンポジウム(ASCO-SITC Clinical Immuno-Oncology Symposium)にて、新規に同時転移腎細胞がんとして診断された患者に対する樹状細胞ワクチンであるIlixadencel+スニチニブ(商品名スーテント;以下スーテント)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のMERECA試験(NCT02432846)の結果がUppsala UniversityのMagnus Lindskog氏らにより公表された。
MERECA試験とは、腎摘出術前の同時転移腎細胞がん患者(N=88人)に対して腎摘出術前にIlixadencelを投与し、腎摘出術後にスーテントを投与する群(N=58人)、または腎摘出術後にスーテントを投与する群(N=30人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)などを比較検証した第2相試験である。
本試験の2014年1月~2017年1月時点の結果は下記の通りである。主要評価項目である全生存期間(OS)の結果は両群で未到達、データ解析時点では未成熟な結果であった。副次評価項目である客観的奏効率(ORR)はIlixadencel群42.2%(N=19/45)に対してスーテント単剤群24.0%(N=6/25)を示した。完全奏効率(CR)はIlixadencel群11%に対してスーテント単剤群4.0%、奏効持続期間(DOR)中央値はIlixadencel群7.1ヶ月に対してスーテント単剤群2.9ヶ月を示した。
また、無増悪生存期間(PFS)中央値はIlixadencel群11.8ヶ月に対してスーテント単剤群11.0ヶ月を示した。一方の安全性として、グレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)はIlixadencel群、スーテント単剤群で同等であり、Ilixadencel上乗せにより治療関連有害事象(TRAE)発症率の増加は確認されなかった。
以上のMERECA試験の結果よりMagnus Lindskog氏らは以下のように結論を述べている。”同時転移腎細胞がん患者に対する樹状細胞ワクチンであるIlixadencel+スーテント併用療法は、スーテント単剤療法に比べて客観的奏効率(ORR)を増加させ、その奏効持続期間(DOR)も延長しました。”