2月22日、大鵬薬品工業株式会社は既治療の消化管間質腫瘍(GIST)患者を対象に経口Heat Shock Protein(HSP)90阻害剤「TAS-116(一般名:ピミテスピブ)」とプラセボを比較した第3相臨床試験である「CHAPTER-GIST-301試験」にて、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を有意に延長する結果が得られたと発表した。
GISTは、消化管の壁にでき、転移、再発を起こす悪性腫瘍であり、肉腫の一種。日本国内における年間罹患数は、約1500~2500人と推定される希少がんである。多くのGISTでは、がんの増殖や生存などに関与するKIT、PDGFRA遺伝子に変異を有している。
CHAPTER-GIST-301試験は、標準治療薬に不応または不耐と判断されたGIST患者を対象に、TAS-116とプラセボを比較した無作為割付・二重盲検の第3相臨床試験。同試験の主要評価項目はPFSで、副次評価項目は全生存期間(OS)、安全性、生活の質(QOL)などである。なお、同試験はイマチニブ、スニチニブおよびレゴラフェニブの治療歴がある20歳以上のGIST患者81名を対象に日本で実施された。
なお、同試験の結果は今後、学術集会や学術雑誌での公表を予定としている。
Heat Shock Protein(HSP)90とは
HSP90はストレスに反応して発現が上昇し、タンパク質の機能的構造の形成促進・維持を通じて細胞をストレスから守る。HSP90はがん細胞および腫瘍組織に多く発現しており、活性の高い状態で存在することから、がんの生存・維持に重要であることが知られている。
TAS-116とは
TAS-116は、大鵬薬品が創製した化合物。HSP90を阻害することでがんの増殖や生存などに関与するKIT、PDGFRA、HER2やEGFRなどのタンパクを不安定化し、減少させることで抗腫瘍効果を示す。