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治療歴のあるHER2陽性切除不能/転移性非小細胞肺がんに対するエンハーツ単剤療法、客観的奏効率24.5%を示す

この記事の3つのポイント
・治療歴のあるHER2陽性の切除不能/転移性非小細胞肺がん患者が対象の第2相試験
・エンハーツ単剤療法有効性安全性を検証
・客観的奏効率24.5%を示す

2021年1月28日~31日までオンラインミーティングで開催された第21回世界肺癌学会議(WCLC-IASLC 2020)にて治療歴のあるHER2陽性の切除不能/転移性非小細胞肺がん患者に対する抗HER2抗体薬物複合体(ADC)であるエンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン、以下エンハーツ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のDESTINY-Lung01試験(NCT03505710)の結果が公表された。

DESTINY-Lung01試験とは、治療歴のあるHER2陽性の切除不能/転移性非小細胞肺がん患者(N=170人)に対してエンハーツ6.4mg/kgまたは5.4mg/kg単剤療法を投与し、主要評価項目として独立評価委員会判定による客観的奏効率(ORR)、重要な副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、病勢コントロール率DCR)、無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)などを検証した国際多施設共同オープンラベルの第2相試験である。

本試験が開始された背景として、肺がんは男女問わず死亡者数が最も多いがんである。非小細胞肺がんは肺がんの約80~85%を占めており、転移性非小細胞肺がんの5年生存率は6~10%程度である。以上の背景より、HER2陽性の転移性非小細胞肺がん患者に対する抗HER2抗体薬物複合体(ADC)エンハーツ単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。前治療歴中央値は3レジメン。前治療の種類はプラチナ系抗がん剤ベースの化学療法が91.8%、免疫療法が73.5%だった。治療期間中央値は18週間。以上の背景を有するエンハーツ6.4mg/kg単剤療法を投与された患者(N=49人)における本試験の結果は下記の通りである。

主要評価項目である独立評価委員会判定による客観的奏効率(ORR)は24.5%を示した。副次評価項目である病勢コントロール率(DCR)は69.4%、無増悪生存期間(PFS)中央値は5.4ヶ月、奏効持続期間(DOR)中央値は6.0ヶ月、全生存期間(OS)中央値は11.3ヶ月を示した。

一方の安全性として、既存の臨床試験で確認されているエンハーツの安全性プロファイルと一致しており、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなかった。最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は好中球数減少、倦怠感であった。また、治療関連の間質性肺炎(ILD)、肺炎は8人の患者で確認され、グレード1が2人、グレード2が3人、グレード5は3人であった。

以上の第2相DESTINY-Lung01試験の結果より、Senior Vice President・Head of Late-Stage Development Oncology R&DのCristian Massacesi氏は「抗体医薬複合体(ADC)は、進行性肺がんの標的治療に変革をもたらす可能性を秘めており、エンハーツのデータは、治療の選択肢が限られている患者さんにおいて、持続的な効果が期待できることを示唆しています。さらなる臨床データに期待しています」と述べている。

Datopotamab deruxtecan and Enhertu show promising early clinical activity in patients with advanced non-small cell lung cancer(AstraZeneca PressReleases)

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