・シスプラチン+ゲムシタビン療法後に病勢進行した局所進行性/転移性胆道がん患者が対象の第3相試験
・FOLFOX療法+積極的な症状コントロール(ASC)の有効性・安全性を比較検証
・全生存期間はFOLFOX+ASC6.2ヶ月、ASC単独5.3ヶ月で統計学的有意に延長した
2021年3月30日、医学誌『The Lancet Oncology』にてシスプラチン+ゲムシタビン療法後に病勢進行した局所進行性/転移性胆道がん患者に対する二次治療としてのFOLFOX療法(レボホリナート+フルオロウラシル+オキサリプラチン)+積極的な症状コントロール(active symptom control、以下ASC)の有効性、安全性を比較検証した第3相のThe ABC-06試験(NCT01926236)の結果がUniversity of ManchesterのAngela Lamarca氏らにより公表された。
The ABC-06試験とは、シスプラチン+ゲムシタビン療法後に病勢進行した局所進行性/転移性胆道がん患者(N=162人)に対する二次治療として2週を1サイクルとしてFOLFOX療法+ASCを最大12サイクル投与する群(N=81人)、またはASCのみを実施する群(N=81人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として安全性などを比較検証したオープンラベルランダム化の第3相試験である。
本試験が開始された背景として、進行性胆道がんの標準治療はシスプラチン+ゲムシタビン併用療法であるが、この治療を二次治療として推奨する強い根拠は存在しない。以上の背景より、進行性胆道がん患者に対する二次治療としてのFOLFOX療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値21.7ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はFOLFOX療法+ASC群6.2ヶ月(95%信頼区間:5.4~7.6ヶ月)に対してASC群5.2ヶ月(95%信頼区間:4.1~5.8ヶ月)、FOLFOX療法+ASC群で死亡(OS)のリスクを31%(95%信頼区間:0.50-0.97、P=0.031)減少した。
また、6ヶ月全生存率(OS)はFOLFOX療法+ASC群50.6%(95%信頼区間:39.3%~60.9%)に対してASC群35.5%(95%信頼区間:25.2%~46.0%)、12ヶ月全生存率(OS)はFOLFOX療法+ASC群25.9%(95%信頼区間:17.0%~35.8%)に対してASC群11.4%(95%信頼区間:5.6%~19.5%)を示した。
一方の安全性として、グレード3~5の有害事象(AE)発症率はFOLFOX療法+ASC群69%に対してASC群52%を示した。FOLFOX療法+ASC群で最も多くの患者に確認されたグレード3~5の有害事象(AE)は好中球減少症12%、倦怠感11%、感染症10%。なお、化学療法関連の有害事象(AE)により3人の死亡が確認されている。
以上のThe ABC-06試験の結果よりAngela Lamarca氏らは「シスプラチン+ゲムシタビン療法後に病勢進行した局所進行性/転移性胆道がん患者に対する二次治療としてのFOLFOX療法+ASCは全生存期間(OS)を改善し、6ヶ月および12ヶ月の全生存率においても臨床的に意義のある範囲で増加しました。FOLFOX療法は局所進行性/転移性胆道がんの二次治療の標準治療になり得るでしょう」と結論を述べている。