・脆弱な高齢卵巣がん患者が対象の第3相試験
・ファーストライン治療としてカルボプラチン単剤療法の有効性・安全性をカルボプラチン+パクリタキセル併用療法と比較検証
・6サイクル完遂率は48%で、カルボプラチン+パクリタキセル併用療法より低率であった
2021年4月22日、医学誌『JAMA Oncology』にて脆弱な高齢卵巣がん患者に対するファーストライン治療としてのカルボプラチン単剤療法、カルボプラチン+パクリタキセル併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相試験(NCT02001272)の結果がUniversité Lyon 1のClaire Falandry氏らにより公表された。
本試験は、70歳以上のステージIII/IV卵巣がん患者に対して3週を1サイクルとしてカルボプラチンAUC5mg/mL/min+パクリタキセル175mg/m2併用療法を投与する群(N=40人)、3週を1サイクルとしてカルボプラチンAUC5~6mg/mL/min単剤療法を投与する群(N=40人)、2週を1サイクルとしてカルボプラチンAUC2mg/mL/min+4週を1サイクルとして1、8、15日目にパクリタキセル60mg/m2併用療法を投与する群(N=40人)に無作為に振り分け、主要評価項目としてフィジビリティ(病勢進行、治療関連有害事象による治療中止、死亡なしに化学療法を6サイクル完遂率として定義)を比較検証した第3相試験である。
本試験が開始された背景として、脆弱な高齢卵巣がん患者に対するカルボプラチン単剤療法は、カルボプラチン+パクリタキセル併用療法に比べてフィジビリティも低率であり、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)も改善効果を示していない。以上の背景より、カルボプラチン+パクリタキセル併用療法は有害事象(AE)発症率が高率であるが、全ての脆弱な高齢卵巣がん患者に対して推奨されるべき治療法である。以上の背景より、脆弱な高齢卵巣がん患者に対するファーストライン治療としてのカルボプラチン単剤療法、カルボプラチン+パクリタキセル併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された120人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値80歳。Geriatric Vulnerability Scoreは4が36%(N=43人)、5が11%(N=13人)。病期進行はステージIVが33%(N=40人)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
フィジビリティ率はカルボプラチンAUC5mg/mL/min+パクリタキセル175mg/m2併用群65%(N=26人)、カルボプラチンAUC5~6mg/mL/min単剤群48%(N=19人)、カルボプラチンAUC2mg/mL/min+パクリタキセル60mg/m2併用群60%(N=24人)を示した。
治療関連有害事象(TRAE)発症率はカルボプラチンAUC5mg/mL/min+パクリタキセル175mg/m2併用群43%(N=17人)、カルボプラチンAUC5~6mg/mL/min単剤群58%(N=23人)、カルボプラチンAUC2mg/mL/min+パクリタキセル60mg/m2併用群58%(N=23人)を示した。
以上の第3相試験の結果よりClaire Falandry氏らは「脆弱な高齢卵巣がん患者に対するファーストライン治療としてのカルボプラチン単剤療法は、カルボプラチン+パクリタキセル併用療法に比べてフィジビリティ率は低率でした」と結論を述べている。