・ステージIII/IV卵巣がん患者が対象の第3相試験
・テセントリク+ベバシズマブ+化学療法の有効性・安全性をベバシズマブ+化学療法と比較検証
・無増悪生存期間は全解析患者で19.5ヶ月、PD-L1陽性集団で20.8ヶ月だったが統計的有意な延長は認めず
2021年4月23日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてステージIII/IV卵巣がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるテセントリク(一般名:アテゾリズマブ、以下テセントリク)+ベバシズマブ+化学療法の有効性、安全性を比較検証する第3相のIMagyn050/GOG 3015/ENGOT-OV39試験(NCT03038100)の結果がthe University of Oklahoma Health Sciences CenterのKathleen N. Moore氏らにより公表された。
IMagyn050/GOG 3015/ENGOT-OV39試験とは、ステージIII/IV卵巣がん患者(N=1301人)に対して3週を1サイクルとして1日目にテセントリク1200mg+1日目にベバシズマブ15mg/kg+1日目にパクリタキセル175mg/m2+1日目にカルボプラチンAUC6mg/mL/min併用療法を投与する群、または1日目にプラセボ+1日目にベバシズマブ15mg/kg+1日目にパクリタキセル175mg/m2+1日目にカルボプラチンAUC6mg/mL/min併用療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目としてITT解析集団、PD-L1陽性集団それぞれにおける無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を比較検証した二重盲検プラセボ対照比較の第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるITT解析集団における無増悪生存期間(PFS)中央値はテセントリク+ベバシズマブ+化学療法群19.5ヶ月に対してプラセボ+ベバシズマブ+化学療法群18.4ヶ月であり、テセントリク+ベバシズマブ+化学療法群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを8%減少(HR:0.92、95%信頼区間:0.79~1.07、P=0.28)した。
また、PD-L1陽性集団における主治医評価の無増悪生存期間(PFS)中央値はテセントリク+ベバシズマブ+化学療法群20.8ヶ月に対してプラセボ+ベバシズマブ+化学療法群18.5ヶ月であり、テセントリク+ベバシズマブ+化学療法群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを20%減少(HR:0.80、95%信頼区間:0.65~0.99、P=0.038)を示した。
なお、もう1つの主要評価項目であるITT解析集団、PD-L1陽性集団それぞれにおける全生存期間(OS)はデータが未成熟であり、両群間に臨床的有意な差は確認されなかった。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3~4の有害事象(AE)は好中球減少症がテセントリク+ベバシズマブ+化学療法群21%に対してプラセボ+ベバシズマブ+化学療法群21%、高血圧が18%に対して20%、貧血が12%に対して12%であった。
以上のIMagyn050/GOG 3015/ENGOT-OV39試験の結果よりKathleen N. Moore氏らは「ステージIII/IV卵巣がん患者に対する抗PD-L1抗体薬テセントリク+ベバシズマブ+化学療法は、新規の進行性卵巣がん患者に対して上乗せ効果を示さず、現在のエビデンスでは免疫チェックポイント阻害薬の使用を推奨することは難しいでしょう」と結論を述べている。