・複数治療歴のある転移性トリプルネガティブ乳がん患者が対象の第1相試験のトリプルネガティブ乳がんコホート
・datopotamab deruxtecan(ダトポタマブ デルクステカン)単剤療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率43%であり、部分奏効は9人であった
2021年5月5日から8日までオンラインミーティングで開催されたESMO Breast Cancer Virtual Congress 2021にて、複数治療歴のあるトリプルネガティブ乳がんを含む転移性固形がん患者に対する抗TROP2抗体薬物複合体であるdatopotamab deruxtecan(ダトポタマブ デルクステカン:Dato-DXd、DS-1062)単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相のTROPION-PanTumor01試験(NCT03401385)のトリプルネガティブ乳がんコホートにおける結果がMassachusetts General Hospital Cancer CenterのAditya Bardia氏らにより公表された。
TROPION-PanTumor01試験とは、トリプルネガティブ乳がんを含む転移性固形がん患者に対して3週を1サイクルとしてdatopotamab deruxtecan(Dato-DXd、DS-1062)6~8mg/kg単剤療法を投与し、主要評価項目として安全性、副次評価項目として盲検化された独立中央委員会(BICR)判定により客観的奏効率(ORR)などを検証した第1相試験である。なお、トリプルネガティブ乳がんコホートには24人の患者が登録され、22人がdatopotamab deruxtecan(Dato-DXd、DS-1062)6mg/kg、2人がdatopotamab deruxtecan(Dato-DXd、DS-1062)8mg/kgの用量が設定されている。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は57歳(32~82歳)。前治療歴は3レジメン以上が71%。前治療歴の種類はタキサン系抗がん剤83%、プラチナ系抗がん剤50%、免疫療法33%、サシツズマブ ゴビテカン8%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
副次評価項目である盲検化された独立中央委員会(BICR)判定による客観的奏効率(ORR)は43%で、その内訳は部分奏効率(PR)9人であった。病勢コントロール率(DCR)は95%(N=20/21人)を示した。
安全性としては、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は100%、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は33%をそれぞれ示した。最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は吐き気が63%、口内炎63%、疲労42%、嘔吐42%、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は口内炎13%、疲労4%であった。
以上のTROPION-PanTumor01試験のトリプルネガティブ乳がんコホートにおける結果よりAditya Bardia氏らは「複数治療歴のある転移性トリプルネガティブ乳がん患者に対する抗TROP2抗体薬物複合体であるdatopotamab deruxtecan(Dato-DXd、DS-1062)単剤療法は良好な抗腫瘍効果を示し、有害事象(AE)も管理可能でした」と結論を述べている。