・再発/難治性多発性骨髄腫患者が対象の第1相試験
・BCMA×CD3二重特異性抗体teclistamab(テクリスタマブ)単剤療法の有効性・安全性を検証
・第2相試験推奨用量は1500µg/kg皮下投与であり、客観的奏効率65%を示す
2021年6月4日~8日、オンラインミーティングで開催された第57回米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)にて再発/難治性多発性骨髄腫患者に対するB細胞成熟抗原(BCMA)およびCD3に対する二重特異性抗体teclistamab(テクリスタマブ、JNJ-64007957)単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT03145181)の結果がCity of Hope Comprehensive Cancer CenterのAmrita Y. Krishnan氏らにより公表された。
本試験は、再発/難治性多発性骨髄腫患者(N=156人)に対して2週を1サイクルとしてteclistamab(テクリスタマブ)0.3~19.2µg/kg単剤療法を静脈内投与する群、1週を1サイクルとしてteclistamab(テクリスタマブ)19.2~720µg/kg単剤療法を静脈内投与する群、1週を1サイクルとしてteclistamab(テクリスタマブ)80.0~3000µg/kg単剤療法を皮下投与する群に分け、主要評価項目として第2相試験推奨用量(RP2D)、用量制限毒性(DLT)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを検証した第1相試験である。
本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である第2相試験推奨用量(RP2D)は、1週を1サイクルとしてteclistamab(テクリスタマブ)1500µg/kgを皮下投与し、60µg/kg、300µg/kgを皮下投与としてステップアップ投与を行うものと同定された。
第2相試験推奨用量(RP2D)が投与された患者群(N=40人)において最も多くの患者で確認された有害事象(AE)はサイトカイン放出症候群(CRS)70%、好中球減少症60%であった。また、客観的奏効率(ORR)は65%を示し、最良部分奏効(VGPR)以上を達成した患者は58%、完全奏効(CR)以上を達成した患者は30%を示し、初回奏効が確認されるまでの期間中央値は1.0ヶ月(0.2~3.1ヶ月)を示した。
以上の第1相試験の結果よりAmrita Y. Krishnan氏らは「再発/難治性多発性骨髄腫患者に対するB細胞成熟抗原(BCMA)およびCD3に対する二重特異性抗体teclistamab(テクリスタマブ)単剤療法は、週1回の皮下投与により忍容性も問題なく、奏効も持続的で良好なものが確認されました」と結論を述べている。