・FGFR2b陽性の進行性胃/胃食道接合部腺がん患者が対象の第2相試験のアップデート解析
・bemarituzumab(ベマリツズマブ)+mFOLFOX6併用療法の有効性・安全性を比較検証
・全生存期間19.2ヶ月であり、プラセボ+mFOLFOX6併用療法の13.5ヶ月に対し死亡リスクを40%減少した
2021年6月4日~8日、オンラインミーティングで開催された第57回米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)にてFGFR2b陽性の進行性胃/胃食道接合部腺がん患者に対するヒト化抗FGFR2b抗体であるbemarituzumab(ベマリツズマブ)+mFOLFOX6併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のFIGHT試験(NCT03694522)のアップデート解析の結果がシカゴ大学のDaniel V.T. Catenacci氏らにより公表された。
FIGHT試験は、FGFR2b陽性の進行性胃/胃食道接合部腺がん患者(N=155人)に対して2週を1サイクルとしてbemarituzumab 15mg/kg+mFOLFOX6併用療法を投与する群、または2週を1サイクルとしてプラセボ+mFOLFOX6併用療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)を比較検証した第2相試験である。
FIGHT試験の初回解析では、bemarituzumab+mFOLFOX6併用療法は無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、全奏効率(ORR)において改善が認められた。今回のアップデート解析では、サブグループによる分析、角膜関連の有害事象に関する追加データ、全生存期間(OS)中央値が報告された。
本試験のフォローアップ期間中央値12.5ヶ月時点における結果、副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はbemarituzumab+mFOLFOX6併用群の19.2ヶ月(95%信頼区間:13.6ヶ月-未到達)に対してプラセボ+mFOLFOX6併用群で13.5ヶ月(95%信頼区間:9.3-15.9)と、bemarituzumab+mFOLFOX6併用群で死亡(OS)のリスクを40%減少(HR:0.60、95%信頼区間:0.38-0.94)した。
また、サブグループ解析の結果、FGFR2b陽性率10%を超える群(N=96人)における全生存期間(OS)中央値はbemarituzumab+mFOLFOX6併用群の25.4ヶ月(95%信頼区間:13.0-未到達)に対してプラセボ+mFOLFOX6併用群で11.1ヶ月(95%信頼区間:8.4-13.8)と、bemarituzumab+mFOLFOX6併用群で死亡(OS)のリスクを59%減少(HR:0.41、95%信頼区間:0.23-0.74)を示した。
一方の安全性として、全グレードの有害事象(AE)発症率はbemarituzumab+mFOLFOX6併用群の100%に対してプラセボ+mFOLFOX6併用群で98.7%を示した。また、角膜関連の有害事象(AE)発症率はbemarituzumab+mFOLFOX6併用群の67.1%に対してプラセボ+mFOLFOX6併用群で10.4%を示し、角膜関連の有害事象(AE)の中で最も多くの患者に確認されたのはドライアイ26.3%であった。
以上の第2相のFIGHT試験の結果よりDaniel V.T. Catenacci氏らは「FGFR2b陽性の進行性胃/胃食道接合部腺がん患者に対するヒト化抗FGFR2b抗体bemarituzumab+mFOLFOX6併用療法は、臨床的意義のある抗腫瘍効果を示しました」と結論を述べている。