・ゲムシタビン+シスプラチン併用療法後に病勢進行した転移性胆道がん患者が対象の第2b相試験
・イリノテカンリポソーム+フルオロウラシル+ロイコボリン併用療法の有効性・安全性をフルオロウラシル+ロイコボリン併用療法と比較検証
・無増悪生存期間はイリノテカンリポソーム上乗せ群は7.1ヶ月、フルオロウラシル+ロイコボリン併用群1.4ヶ月で統計学的有意に延長
2021年10月14日、医学誌『The Lancet Oncology』にてゲムシタビン+シスプラチン併用療法後に病勢進行した転移性胆道がん患者に対するイリノテカンリポソーム+フルオロウラシル+ロイコボリン併用療法の有効性、安全性を検証した第2b相のNIFTY試験(NCT03524508)の結果がUniversity of Ulsan College of MedicineのChanghoon Yoo氏らにより公表された。
本試験は、ゲムシタビン+シスプラチン併用療法後に病勢進行した転移性胆道がん患者(N=174人)に対して2週を1サイクルとしてイリノテカンリポソーム70mg/m2+フルオロウラシル2400mg/m2+ロイコボリン400mg/m2併用療法を投与する群(N=88人)、または2週を1サイクルとしてフルオロウラシル2400mg/m2+ロイコボリン400mg/m2併用療法を投与する群(N=86人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として盲検下での独立中央判定(BICR)評価の無増悪生存期間(PFS)を比較検証した多施設共同オープンラベルランダム化の第2b相試験である。
本試験が開始された背景として、ゲムシタビン+シスプラチン併用療法後に病勢進行した転移性胆道がんの予後は不良である。以上の背景より、転移性胆道がん患者に対する二次治療としてのイリノテカンリポソーム+フルオロウラシル+ロイコボリン併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値11.8ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である盲検下での独立中央判定(BICR)評価の無増悪生存期間(PFS)中央値はイリノテカンリポソーム+フルオロウラシル+ロイコボリン併用群7.1ヶ月(95%信頼区間:3.6~8.8ヶ月)に対してフルオロウラシル+ロイコボリン併用群1.4ヶ月(95%信頼区間:1.2~1.5ヶ月)、イリノテカンリポソーム+フルオロウラシル+ロイコボリン併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを44%統計学的有意に減少(HR:0.56、95%信頼区間:0.39~0.81、P=0.0019)した。
最も多くの患者で確認されたグレード3~4の有害事象(AE)は、好中球減少症がイリノテカンリポソーム+フルオロウラシル+ロイコボリン併用群の24%(N=21人)に対してフルオロウラシル+ロイコボリン併用群で1%(N=1人)、倦怠感/無力症が13%(N=11人)に対して3%(N=3人)であった。また、重篤な有害事象(SAE)発症率は、イリノテカンリポソーム+フルオロウラシル+ロイコボリン併用群の42%(N=37人)に対してフルオロウラシル+ロイコボリン併用群で24%(N=21人)。なお、治療関連有害事象(TRAE)による死亡は1人の患者も確認されなかった。
以上のNIFTY試験の結果よりChanghoon Yoo氏らは「転移性胆道がん患者に対する二次治療としてフルオロウラシル+ロイコボリン併用療法へのイリノテカンリポソーム上乗せ効果は、主要評価項目である盲検下での独立中央判定(BICR)評価の無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しました。これは転移性胆道がんに対する標準的な二次治療になると考えられます」と結論を述べている。