・ホルモン療法後に病勢進行したホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者が対象の第3相試験
・Dalpiciclib(ダルピシクリブ)+フルベストラント併用療法の有効性・安全性をプラセボ+フルベストラントと比較検証
・無増悪生存期間は15.7ヶ月であり、プラセボ+フルベストラント併用群(7.2ヶ月)に対して統計学的有意に改善した
2021年11月4日、医学誌『nature medicine』にてホルモン療法後に病勢進行したホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者に対するCDK4/6阻害薬であるDalpiciclib(ダルピシクリブ:SHR6390)+フルベストラント併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のDAWNA-1試験(NCT03927456)の結果がChinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical CollegeのBinghe Xu氏らにより公表された。
DAWNA-1試験は、ホルモン療法後に病勢進行したホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者(N=361人)に対してDalpiciclib+フルベストラント併用療法を実施する群(N=241人)、もしくはプラセボ+フルベストラント併用療法を実施する群(N=120人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証した二重盲検ランダム化の第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、Dalpiciclib+フルベストラント併用群の15.7ヶ月(95%信頼区間:11.1ヶ月~未到達)に対してプラセボ+フルベストラント併用群で7.2ヶ月(95%信頼区間:5.6~9.2ヶ月)を示し、Dalpiciclib+フルベストラント併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを58%統計学的有意に減少(HR:0.42、95%信頼区間:0.31–0.58、P<0.0001)した。
また、6ヶ月無増悪生存率(PFS)は、Dalpiciclib+フルベストラント併用療法群の76.4%(95%信頼区間:70.1~81.5%)に対し、プラセボ+フルベストラント併用群で53.2%(95%信頼区間:43.5~62.0%)、12ヶ月無増悪生存率(PFS)は、Dalpiciclib+フルベストラント併用療法群の51.8%(95%信頼区間:43.2~59.8%)に対し、プラセボ+フルベストラント併用群で29.1%(95%信頼区間:20.2~38.5%)を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3~4の有害事象(AE)は、Dalpiciclib+フルベストラント併用群で好中球減少症が84.2%、リンパ球減少症が62.1%。重篤な有害事象(SAE)は、Dalpiciclib+フルベストラント併用群の5.8%に対してプラセボ+フルベストラント併用群で6.7%を示した。
以上のDAWNA-1試験の結果よりBinghe Xu氏らは「ホルモン療法後に病勢進行したホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者に対するCDK4/6阻害薬Dalpiciclib+フルベストラント併用療法は、管理可能な安全性プロファイルで無増悪生存期間を有意に延長することが示され、新しい標準治療になり得る可能性が示唆されました」と結論を述べている。