・BRAF V600遺伝子変異陽性切除不能/転移性メラノーマ患者が対象の第3相試験
・Spartalizumab(スパルタリズマブ)+ダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法の有効性・安全性をプラセボと比較検証
・無増悪生存期間はSpartalizumab+ダブラフェニブ+トラメチニブ併用群16.2ヶ月であり、プラセボ併用群の12.0ヶ月に対して有意差を認めず
2022年1月18日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてBRAF V600遺伝子変異陽性切除不能/転移性悪性黒色腫(メラノーマ)患者を対象に抗PD-1抗体薬であるSpartalizumab(スパルタリズマブ)+BRAF阻害薬であるダブラフェニブ+MEK阻害薬であるトラメチニブ併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のCOMBI-i試験(NCT02967692)の結果がUniversity Hospital Zürich Skin Cancer CenterのReinhard Dummer氏らにより公表された。
本試験は、BRAF V600遺伝子変異陽性切除不能/転移性悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対して4週を1サイクルとしてSpartalizumab 400mg+1日2回ダブラフェニブ150mg+1日1回トラメチニブ2mg併用療法を実施する群、プラセボ+1日2回ダブラフェニブ150mg+1日1回トラメチニブ2mg併用療法を実施する群に分け、主要評価項目として主治医評価の無増悪生存期間(PFS)、重要な副次評価項目として全生存期間(OS)検証した第3相試験である。
本試験が開始された背景として、基礎試験にてBRAF V600遺伝子変異陽性切除不能/転移性悪性黒色腫(メラノーマ)に対してBRAF阻害薬ダブラフェニブとMEK阻害薬トラメチニブに抗PD-1抗体薬Spartalizumabを併用することで相乗的な抗腫瘍効果が確認されている。以上の背景より、本治療の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、Spartalizumab+ダブラフェニブ+トラメチニブ併用群の16.2ヶ月(95%信頼区間:12.7-23.9ヶ月)に対してプラセボ+ダブラフェニブ+トラメチニブ併用群で12.0ヶ月(95%信頼区間:10.2-15.4ヶ月)と、Spartalizumab+ダブラフェニブ+トラメチニブ併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを18%減少(HR:0.82、95%信頼区間:0.66-1.03、P=0.042)した。
また、客観的奏効率(ORR)は、Spartalizumab+ダブラフェニブ+トラメチニブ併用群の69%(N=183/267人)に対してプラセボ+ダブラフェニブ+トラメチニブ併用群で64%(N=170/265人)を示した。
一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、Spartalizumab+ダブラフェニブ+トラメチニブ併用群の55%(N=146/267人)に対してプラセボ+ダブラフェニブ+トラメチニブ併用群で33%(N=88/264人)を示した。
以上のCOMBI-i試験の結果よりReinhard Dummer氏らは「BRAF V600遺伝子変異陽性切除不能/転移性悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する抗PD-1抗体薬Spartalizumab+BRAF阻害薬ダブラフェニブ+MEK阻害薬トラメチニブ併用療法は、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しませんでした」と結論を述べている。