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進行性/転移性食道扁平上皮がんに対する二次治療としてのチスレリズマブ単剤療法、全生存期間を有意に改善

この記事の3つのポイント
・進行性/転移性食道扁平上皮がん患者が対象の第3相試験
二次治療としてのTislelizumab(チスレリズマブ)の有効性安全性化学療法と比較検証
全生存期間はTislelizumab単剤群8.6ヶ月に対して化学療法群6.3ヶ月であり改善を示した

4月20日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて進行性/転移性食道扁平上皮がん患者に対する二次治療としての抗PD-1モノクローナル抗体Tislelizumab(チスレリズマブ)単剤療法の有効性、安全性を化学療法と比較検証した第3相のRATIONALE-302試験の結果がPeking University Cancer HospitalのLin Shen氏らにより公表された。

RATIONALE-302試験は、ファーストライン治療後に病勢進行した進行性/転移性食道扁平上皮がん患者(N=512人)を対象に、二次治療として抗PD-1モノクローナル抗体Tislelizumab200mg単剤を3週を1サイクルとして投与する群(N=256人)、もしくは主治医選択の化学療法(パクリタキセルドセタキセル、イリノテカン等)を実施する群(N=256人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全患者群における全生存期間(OS)、重要な副次評価項目としてPD-L1陽性群(10%以上)における全生存期間(OS)を比較検証したオープンラベルの第3相試験である。

本試験が開始された背景として、進行性/転移性食道扁平上皮がんは標準治療の選択肢が非常に限られている。そのため、免疫チェックポイント阻害薬をはじめ新規の標準治療の開発が必要とされている。以上の背景より、進行性/転移性食道扁平上皮がん患者に対する二次治療としての抗PD-1モノクローナル抗体Tislelizumab単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験に登録された512人の患者のうち、410人の患者で死亡イベントが確認された後に行われた最終解析の結果は下記の通りである。主要評価項目である全患者群における全生存期間(OS)中央値はTislelizumab単剤群の8.6ヶ月に対して主治医選択の化学療法群で6.3ヶ月と、主治医選択の化学療法群に比べてTislelizumab単剤群で死亡(OS)のリスクを30%(HR:0.70、95%信頼区間:0.57-0.85、P=0.0001)統計学的有意に改善した。

また、重要な副次評価項目であるPD-L1陽性群(10%以上)における全生存期間(OS)中央値はTislelizumab単剤群の10.3ヶ月に対して主治医選択の化学療法群で6.8ヶ月と、主治医選択の化学療法群に比べてTislelizumab単剤群で死亡(OS)のリスクを46%(HR:0.54、95%信頼区間:0.36-0.79、P=0.0006)改善した。

その他評価項目として、客観的奏効率ORR)はTislelizumab単剤群の20.3%に対して主治医選択の化学療法群で9.8%、奏効持続期間(DOR)中央値はTislelizumab単剤群の7.1ヶ月に対して主治医選択の化学療法群で4.0ヶ月を示した。グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はTislelizumab単剤群の18.8%に対して主治医選択の化学療法群で55.8%を示した。

以上のRATIONALE-302試験の結果よりLin Shen氏らは「進行性/転移性食道扁平上皮がん患者に対する二次治療としての抗PD-1モノクローナル抗体Tislelizumab単剤療法は、主治医選択の化学療法に比べて全生存期間(OS)を統計学有意に改善し、PD-L1陽性群(10%以上)においても有意な生存率を示しました。また、安全性プロファイルも良好でした」と結論を述べている。

Tislelizumab Versus Chemotherapy as Second-Line Treatment for Advanced or Metastatic Esophageal Squamous Cell Carcinoma (RATIONALE-302): A Randomized Phase III Study(J Clin Oncol. 2022 Apr 20;JCO2101926. doi: 10.1200/JCO.21.01926.)

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