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エストロゲン受容体陽性の閉経後乳がんに対するイバンドロネート+内分泌療法、無病生存期間を改善せず

この記事の3つのポイント
・エストロゲン受容体陽性の閉経後乳がん患者が対象の第3相試験
・経口ビスフォスフォネート製剤イバンドロネート+内分泌療法有効性安全性を比較検証
無病生存期間は内分泌療法と比較して有意な延長を認めず

4月20日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてエストロゲン受容体陽性の閉経後乳がん患者に対するアジュバント療法としての経口ビスフォスフォネート製剤であるイバンドロネート+内分泌療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のTEAM-IIB試験の結果がUniversity Medical Center UtrechtのSonja B. Vliek氏らにより公表された。

TEAM-IIB試験は、エストロゲン受容体陽性の閉経後乳がん患者(N=1116人)に対するアジュバント療法として内分泌療法のみを5年間実施する群(N=551人)、もしくは内分泌療法+1日1回イバンドロネート50mg併用療法を3年間実施する群(N=565人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無病生存期間 (DFS)を比較検証した多施設共同オープンラベルランダム化の第3相試験である。

本試験が開始された背景として、閉経後乳がん患者に対するアジュバント療法としてのビスフォスフォネート製剤はわずかながら臨床ベネフィットが確認されている。しかし、経口ビスフォスフォネート製剤であるイバンドロネートの有用性は不明確である。以上の背景より、エストロゲン受容体陽性の閉経後乳がん患者に対するアジュバント療法としての経口ビスフォスフォネート製剤イバンドロネート+内分泌療法の有用性を確認する目的で本試験が開始された。

本試験のフォローアップ期間中央値8.5年時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である無病生存期間 (DFS)は両群間で統計学的有意な差は確認されなかった(HR:0.97、95%信頼区間:0.76-1.24、P=0811)。無作為化より3年時点における無病生存率 (DFS)は内分泌療法群の91%に対してイバンドロネート+内分泌療法群で94%、5年時点における無病生存率 (DFS)は内分泌療法群の86%に対してイバンドロネート+内分泌療法群で89%を示した。

一方の安全性として、イバンドロネート+内分泌療法群では有害事象(AE)による治療中止に至った患者は17%(N=97/565人)であった。イバンドロネート+内分泌療法群の多くの患者で確認された有害事象(AE)は消化不良であり、その発症率は内分泌療法群の10%に対してイバンドロネート+内分泌療法群で16%であった。

以上のTEAM-IIB試験の結果よSonja B. Vliek氏らは「エストロゲン受容体陽性の閉経後乳がん患者に対するアジュバント療法としての経口ビスフォスフォネート製剤イバンドロネート+内分泌療法は、無病生存期間 (DFS)を統計学有意に改善せず、本治療は標準治療としては推奨すべきではありません」と結論を述べている。

Daily Oral Ibandronate With Adjuvant Endocrine Therapy in Postmenopausal Women With Estrogen Receptor–Positive Breast Cancer (BOOG 2006-04): Randomized Phase III TEAM-IIB Trial(J Clin Oncol. 2022 Apr 20;JCO2100311. doi: 10.1200/JCO.21.00311.)

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