・原発性乳がん患者が対象の第2b相試験
・術前化学療法としてのデノスマブ+化学療法の有効性・安全性を比較検証
・病理学的完全奏効率はデノスマブ投与群の41.0%に対してデノスマブ非投与群で42.8%と、改善を示さなかった
5月19日、医学誌『JAMA Oncology』にて原発性乳がん患者に対する術前化学療法としての抗RANKLモノクローナル抗体製剤であるデノスマブ+化学療法の有効性、安全性を検証した第2b相のThe GeparX試験(NCT02682693)の結果がCharité Universitätsmedizin BerlinのJens-Uwe Blohmer氏らにより公表された。
The GeparX試験は、原発性乳がん患者(N=780人)を対象に、術前化学療法として4週を1サイクルとしてデノスマブ120mgを6サイクル投与する群としない群に無作為に割り付け、1週を1サイクルとして1日目にナブパクリタキセル125mg/m2を12週間投与または3週を1サイクルとして1、8日目にナブパクリタキセル125mg/m2を4サイクル投与し、その後2~3週を1サイクルとしてエピルビシン90mg/m2+シクロスファミド600mg/m2併用療法を4サイクル実施し、主要評価項目として病理学的完全奏効率(pCR)を検証した第2b相試験である。
本試験に登録された780人の患者背景は下記の通りである。性別は女性779人、男性1人。年齢中央値は49.0歳(22-80歳)。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
主要評価項目である病理学的完全奏効率(pCR)はデノスマブ投与群の41.0%(90%信頼区間:37-45%)に対してデノスマブ非投与群で42.8%(90%信頼区間:39-47%)を示した(P=0.58)。また、ナブパクリタキセルの投与サイクル別の病理学的完全奏効率(pCR)は1週1サイクル投与のナブパクリタキセル群の44.9%(90%信頼区間:41-49%)に対して3週1サイクル投与のナブパクリタキセル群で39.0%(90%信頼区間:35-43%)を示した(P=0.06)。
一方、安全性としてグレード3~4の有害事象は、デノスマブの有無による差は見られなかった。しかしながら、非血液性の有害事象は、1週1サイクル投与のナブパクリタキセル群3の3.7%に対して3週1サイクル投与のナブパクリタキセル群で24.1%であり、1週1サイクル投与のナブパクリタキセル群で高率であった。
以上のThe GeparX試験の結果よりJens-Uwe Blohmer氏らは「原発性乳がん患者に対する術前化学療法としての抗RANKLモノクローナル抗体製剤デノスマブの追加投与は、化学療法単独に比べて病理学的完全奏効率(pCR)を改善しませんでした。また、ナブパクリタキセルの1週1サイクル投与は3週1サイクル投与に比べて病理学的完全奏効率(pCR)を改善しましたが、毒性は高くなりました」と結論を述べている。