・閉経後のホルモン受容体陽性早期乳がん患者が対象の第3相試験
・デスノマブ単剤療法の有効性・安全性をプラセボと比較検証
・臨床的骨折を24%、骨標的病変内無増悪生存リスクを19%減少した
6月3日〜7日、米国・イリノイ州シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2022)にて閉経後のホルモン受容体陽性早期乳がん患者に対する術後療法としての抗RANKLモノクローナル抗体であるデノスマブ単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のABCSG-18試験(NCT00556374)の長期フォローアップの結果がMedical University of ViennaのMichael Gnant氏らにより公表された。
ABCSG-18試験は、閉経後のホルモン受容体陽性早期乳がん患者(N=3425人)に対する術後療法としてデノスマブ60mg単剤療法を6ヶ月間実施する群(N=1711人)、もしくはプラセボ療法を6ヶ月間実施する群(N=1709人)に無作為に振り分け、主要評価項目として初回臨床骨折までの期間、副次評価項目として無病生存期間(DFS)、骨標的病変内無増悪生存期間(BMFS)、全生存期間(OS)等を比較検証した前向き二重盲検プラセボ対照の第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値8年時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である臨床的骨折は、デスノマブ群で201例、プラセボ群で255例で発生し、顕著な減少が長期的に持続した(HR:0.76、95%信頼区間:0.63-0.92、P=0.004)。
副次評価項目である無病生存期間(DFS)はデノスマブ群でリスクを17%減少(HR:0.83、95%信頼区間:0.71-0.97、P=0.016)した。9年無病生存率(DFS)はデノスマブ群の79.4%に対してプラセボ群で75.9%をそれぞれ示した。
また、骨標的病変内無増悪生存期間(BMFS)はデノスマブ群でリスクを19%減少(HR:0.81、95%信頼区間:0.65-1.00、P=0.047)した。全生存期間(OS)はデノスマブ群でリスクを20%減少(HR:0.80、95%信頼区間:0.64-1.01、P=0.065)した。
以上のABCSG-18試験の長期フォローアップ結果よりMichael Gnant氏らは「閉経後のホルモン受容体陽性早期乳がん患者に対する術後療法としての抗RANKLモノクローナル抗体デノスマブ単剤療法は、長期間に渡り臨床的骨折ならびに骨標的病変内無増悪生存期間(BMFS)を改善しました」と結論を述べている。