・新規MGMTプロモーターメチル化陽性神経膠芽腫患者が対象の第2/3相試験
・PARP阻害薬ベリパリブ+テモゾロミド併用療法の有効性・安全性をプラセボ+テモゾロミドと比較検証
・全生存期間はベリパリブ+テモゾロミド28.1ヶ月であり、プラセボ+テモゾロミド(24.8ヶ月)に対して有意差を示せず
6月3日~7日、米国イリノイ州シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2022)にて放射線療法+テモゾロミド併用療法後の新規MGMTプロモーターメチル化陽性神経膠芽腫(GBM)患者に対するアジュバント療法としてのPARP阻害薬であるベリパリブ+テモゾロミド併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2/3相のAllianceA071102試験(NCT02152982)の結果がMayo ClinicのJann Nagina Sarkaria氏らにより公表された。
AllianceA071102試験は、放射線療法+テモゾロミド併用療法後の新規MGMTプロモーターメチル化陽性神経膠芽腫(GBM)患者に対するアジュバント療法として、4週間ごとに1~7日目にベリパリブ+1~5日目にテモゾロミドを投与する群、もしくは4週間ごとにプラセボ+1~5日目にテモゾロミドを投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証した第2/3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値57.8ヶ月時点における結果は下記の通りである。全生存期間(OS)中央値はベリパリブ+テモゾロミド併用群の28.1ヶ月に対してプラセボ+テモゾロミド併用群で24.8ヶ月と、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった(HR:0.89、95%信頼区間:0.71-1.11、P=0.15)。
副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はベリパリブ+テモゾロミド併用群の13.2ヶ月に対してプラセボ+テモゾロミド併用群で12.1ヶ月と、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった(HR:1.05、95%信頼区間:0.86-1.30、P=0.31 )。
また、無計画の探索的解析の結果、初回再発後のテモゾロミドによる治療はベリパリブ+テモゾロミド併用群で全生存期間(OS)を改善した(P=0.03)。再発後からの全生存期間(OS)中央値はベリパリブ+テモゾロミド併用群の17.0ヶ月に対してプラセボ+テモゾロミド併用群で12.6ヶ月を示した。
以上のAllianceA071102試験の結果よりJann Nagina Sarkaria氏らは「放射線療法+テモゾロミド併用療法後の新規MGMTプロモーターメチル化陽性神経膠芽腫(GBM)患者に対するアジュバント療法としてのPARP阻害薬ベリパリブ+テモゾロミド併用療法は、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しませんでした。しかしながら、ベリパリブ+テモゾロミド併用後に病勢進行した患者に対するテモゾロミドによる再治療は全生存期間(OS)を改善する可能性が示されました」と結論を述べている。