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再発転移性扁平上皮頭頸部がん患者に対する化学療法+アバスチン、無増悪生存期間や客観的奏効率を改善

この記事の3つのポイント
・治療歴のある切除不能進行/再発食道がん患者が対象の第3相試験
オプジーボ単剤療法の有効性安全性を検証
化学療法に比べて全生存期間を統計学的有意に改善し、忍容性も良好

2019年10月16日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて再発転移性扁平上皮頭頸部がん患者に対する化学療法±抗VEGFモノクローナル抗体であるベバシズマブ(商品名アバスチン;以下アバスチン)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相試験の結果がThomas Jefferson UniversityのAthanassios Argiris氏らにより公表された。

本試験は、再発転移性扁平上皮頭頸部がん患者(N=403人)に対して3週を1サイクルとしてプラチナ系抗がん剤化学療法+アバスチン15mg/kg併用療法を投与する群、または3週を1サイクルとしてプラチナ系抗がん剤化学療法を投与する群に無作為に振り分け、評価項目として全生存期間(OS)、無増悪生存期間PFS)などを比較検証した第3相試験である。なお、化学療法は最大奏効を達成した場合には最大6サイクル投与までと規定している。

本試験の結果、全生存期間(OS)中央値はアバスチン併用群12.6ヶ月に対して化学療法群11.0ヶ月、アバスチン併用群で死亡(OS)のリスクを13%減少(HR:0.87,95%信頼区間:0.70-1.09,P=0.22)した。また、2年全生存率(OS)はアバスチン併用群25.2%に対して化学療法群18.1%、3年全生存率(OS)はアバスチン併用群16.4%に対して化学療法群10.0%、4年全生存率(OS)はアバスチン併用群11.8%に対して化学療法群6.4%を示した。

無増悪生存期間(PFS)中央値はアバスチン併用群6.0ヶ月に対して化学療法群4.3ヶ月(P=0.0014)を示した。客観的奏効率ORR)はアバスチン併用群35.5%に対して化学療法群24.5%(P=0.016)を示した。

一方の安全性として、アバスチン併用群の患者で多く確認されたグレード3~5の治療関連有害事象(TRAE)は出血がアバスチン併用群6.7%に対して化学療法群0.5%(P<0.001)。また、治療関連有害事象(TRAE)による死亡率はアバスチン併用群9.3%に対して化学療法群3.5%(P=0.022)。

以上の第3相試験の結果よりAthanassios Argiris氏らは以下のように結論を述べている。”再発転移性扁平上皮頭頸部がん患者に対する化学療法に対して抗VEGFモノクローナル抗体アバスチンの上乗せ療法は、全生存期間(OS)こそ改善はしませんでしたが、無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)においては良好な結果を示しました。”

Phase III Randomized Trial of Chemotherapy With or Without Bevacizumab in Patients With Recurrent or Metastatic Head and Neck Cancer(J Clin Oncol. 2019 Oct 16:JCO1900555. doi: 10.1200/JCO.19.00555.)

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