・未治療のRAS野生型転移性大腸がん患者が対象の第2相試験
・ベクティビックス+FOLFOXIRIの有効性・安全性を検証
・客観的奏効率はベクティビックス+FOLFOXIRI群87.3%で統計学的有意に高率だった
2019年10月14日、『Journal of Clinical Oncology』にて未治療のRAS野生型転移性大腸がん患者に対する抗EGFR抗体薬であるパニツムマブ(商品名ベクティビックス;以下ベクティビックス)+FOLFOXIRI併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のVOLFI/AIO KRK0109試験(NCT01328171)の結果がUniversity of MunichのDominik P. Modest氏らにより公表された。
VOLFI/AIO KRK0109試験とは、未治療のRAS野生型転移性大腸がん患者(N=96人)に対してベクティビックス+FOLFOXIRI併用療法を投与する群(N=63人)、またはFOLFOXIRI療法を投与する群(N=33人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として二次的切除割合、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)などを比較検証したオープンラベルの第2相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はベクティビックス+FOLFOXIRI群87.3%に対してFOLFOXIRI群60.6%、ベクティビックス+FOLFOXIRI群は試験開始前の基準値として設定した75%を超え、FOLFOXIRI群よりも統計学的有意に高率(Odds Ratio:4.469,95%信頼区間:1.61-12.38,P=0.004)であった。
副次評価項目である二次的切除割合はベクティビックス+FOLFOXIRI群33.3%に対してFOLFOXIRI群12.1%、FOLFOXIRI群に比べて切除率もベクティビックス+FOLFOXIRI群で改善した(P=0.02)。なお、無増悪生存期間(PFS)は両群間で同等であり、全生存期間(OS)はベクティビックス+FOLFOXIRI群で改善傾向を示した(HR:0.67,95%信頼区間:0.41-1.11,P=0.12)。
以上のVOLFI/AIO KRK0109試験の結果よりDominik P. Modest氏らは以下のように結論を述べている。”未治療のRAS野生型転移性大腸がん患者に対する抗EGFR抗体薬ベクティビックス+FOLFOXIRI併用療法は、FOLFOXIRI群に比べて客観的奏効率(ORR)、切除率を改善しました。以上の試験結果より、本治療は特定の患者に対する治療選択肢になり得る可能性が示唆されました。”