大腸がんとは
大腸は、右下腹部から時計回りに小腸を取り囲むように存在する全長約1.5~2mの管状の臓器です。大きく分けて結腸と直腸の2つに分けられます。大腸は、小腸で消化・吸収した残りかすである液体状の腸の内容物から水分を吸収して固形の便にし、肛門から排泄する役割を担っています。大腸がんとは、この大腸の粘膜(内側の表面)に発生するがんのことです。
日本で新たに大腸がんと診断される患者さんの数(罹患数)は年間約14万人で、高齢化と食生活の欧米化などにより年々増えています。大腸がんは、がんの罹患数の中では、男性では4位、女性では2位で、日本人にとって最も身近ながんの1つといえます。
大腸がんの症状
大腸がんがある程度の大きさになると、血便(便に血がつく)、便秘や下痢などの便通異常、腹痛などの症状が現れますが、早期がんではほとんどが無症状です。また、大腸は長い臓器なので、症状の現れ方はがんができた場所によって少しずつ違います。結腸の右半分(肛門から遠い大腸)にできたがんでは、直腸がんやS状結腸がんに比べて症状が現れにくい傾向があります。
大腸がんの疾患情報
大腸がんの種類と分類
大腸がんの進み具合は、がんの深達度、リンパ節転移の程度、ほかの臓器への転移の有無によって、5段階の病期(ステージ)に分類されます。治療を始めるにあたって、まずはがんの進み具合を正確に知っておく必要があります。
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大腸がんの治療法
大腸がんでは、病期(ステージ)に応じた標準的な治療方針があります。大腸がんは、がんを完全に切除できれば完治する可能性が高いため、ほかの臓器に転移がある場合でも積極的に手術を行います。大腸がんの治療法には、内視鏡治療、手術、化学療法、放射線療法などがありますが、病期(ステージ)に応じて標準的な治療方針が設定されています。
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大腸がんの手術療法
大腸がんの手術の基本は、がんがある部分を含む腸管の切除とリンパ節郭清です。最近では、腹腔鏡手術も増えています。結腸がんの手術では術後の生活にほとんど影響はありませんが、直腸がんの手術では、排便習慣の変化や排尿機能・性機能の障害などの後遺症が起こる場合があります。
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大腸がんの化学療法
化学療法とは、薬物(抗がん剤や分子標的薬)を使ってがん細胞の増殖を抑えたり死滅させたりする治療法です。大きく分けて、手術後の再発予防のために行う化学療法と、転移・再発を起こした大腸がんに対する化学療法の2つがあります。最近では外来通院での治療が多くなっています。
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大腸がんの放射線療法
放射線療法は、がんの三大療法の1つで、がん細胞を死滅させるために高エネルギーの放射線を照射する治療法です。大腸がんでは、主に直腸がんに対して、手術前にがんを小さくして人工肛門を回避したり、術後の再発を抑制したりする目的で行われます(補助放射線療法)。
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