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未治療のEGFR遺伝子変異陽性進行性非小細胞肺がん患者に対するタグリッソ、全生存期間を改善

この記事の3つのポイント
・未治療のEGFR遺伝子変異陽性進行性非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
・タグリッソ単剤療法有効性安全性を比較検証
・他のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬群と比べて、タグリッソ群で死亡のリスクを20%減少

2019年11月21日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて未治療のEGFR遺伝子変異陽性進行性非小細胞肺がん患者に対する第3世代不可逆的EGFR阻害薬であるオシメルチニブ(商品名タグリッソ;タグリッソ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のFLAURA試験(NCT02296125)における副次評価項目である全生存期間OS)の結果がWinship Cancer InstituteのSuresh S. Ramalingam氏らにより公表された。

FLAURA試験とは、未治療のEGFR遺伝子変異陽性進行性非小細胞肺がん患者(N=556人)に対して1日1回タグリッソ80mg単剤療法を投与する群(N=279人)、または他のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(1日1回ゲフィチニブ250mg、1日1回エルロチニブ150mg)単剤療法を投与する群(N=277人)に1対1の割合で振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した第3相試験である。

前回の初回解析結果が公表された時点では、全生存期間(OS)のデータは未成熟であり、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)の結果のみが公表されていた。なお、無増悪生存期間(PFS)中央値はタグリッソ群18.9ヵ月に対して他のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬群10.2ヵ月、タグリッソ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを54%(HR:0.46,P<0.001)統計学的有意に減少を示した。以上の背景より、本解析では副次評価項目であるである全生存期間(OS)の結果が公表された。

本試験の結果、副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はタグリッソ群38.6ヵ月(95%信頼区間:34.5-41.8ヵ月)に対して他のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬群31.8ヵ月(95%信頼区間:26.6-36.0ヵ月)、タグリッソ群で死亡(OS)のリスクを20%(HR:0.80,95%信頼区間:0.64-1.00,P=0.046)減少した。

また、12ヵ月全生存率(OS)、24ヵ月全生存率(OS)、36ヵ月全生存率(OS)はそれぞれタグリッソ群89%(95%信頼区間:85%-92%)、74%(95%信頼区間:69%-79%)、54%(95%信頼区間:48%-60%)に対して他のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬群83%(95%信頼区間:77%-87%)、59%(95%信頼区間:53%-65%)、44%(95%信頼区間:38%-50%)を示した。

一方の安全性として、少なくとも1種類以上の有害事象(AE)発症率は両群ともに98%を示した。また、グレード3以上の有害事象(AE)発症率はタグリッソ群42%に対しては他のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬群47%、重篤な有害事象(SAE)発症率は両群ともに27%を示した。

以上のFLAURA試験の結果よりSuresh S. Ramalingam氏らは以下のように結論を述べている。”未治療のEGFR遺伝子変異陽性進行性非小細胞肺がん患者に対する第3世代不可逆的EGFR阻害薬タグリッソ単剤療法は、他のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬に比べて全生存期間(OS)を改善し、治療期間が長期にも関わらず安全性プロファイルは同等でした。”

Nivolumab Is Effective in Mismatch Repair–Deficient Noncolorectal Cancers: Results From Arm Z1D—A Subprotocol of the NCI-MATCH (EAY131) Study(N Engl J Med. 2019 Nov 21. doi: 10.1056/NEJMoa1913662.)

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